観戦塾 観戦塾 観戦塾
RSS MORTOR SPORTS KANSENZYUKU PODCAST flickr YouTube Facebook Follow Me MOBILE サイトマップ お問い合わせ

記事一覧

トップ > 4輪情報 > SUPER GT > SUPER GT第3戦マレーシア、GT500クラス:王者ウイダーHSV-010が今季初勝利!

SUPER GT第3戦マレーシア、GT500クラス:王者ウイダーHSV-010が今季初勝利!

早くも、シリーズの中盤戦に突入した今シーズンのSUPER GT。今回は、シリーズ唯一の海外ラウンドとなるマレーシア・セパンインターナショナルサーキットで第3戦が開催された。
6月19日(日)、気温34℃、路面温度43℃と、例年通り灼熱のコンディションの中で現地時間の午後4時からスタートした決勝レース。46周の大バトルが始まった。


【GT500クラス:王者ウイダーHSV-010が今季初勝利!】
ポールポジションは、王者ウイダーHSV-010(ホンダ)。シーズン前から絶好調だった昨年のチャンピオンチームだが、いざ開幕してみると、2戦とも歯車の噛み合わないレースが続き、王者らしくない戦いぶりが目に付いていた。「このマレーシアは、どうしても勝たなければならない」と必勝体勢で、挑んだマレーシア戦。スタートドライバーを務めたロイック・ディバルが問題なくスタートダッシュを決め、1位で1コーナーを通過。2位のS Road MOLAGT-R(日産)以下を引き離すペースでレースを進める。
途中、周回遅れのGT300を追い抜くの手間取り、一時MOLAGT-Rに追いつかれるシーンも見られたが、単独走行になると、HSV-010本来の速さを発揮。トップを守りきった状態で、後半の小暮卓史しステアリングを託す。

ウイダーHSVが独走する展開の中、GT500クラスは5位以降争いが白熱。現在ポイントリーダーのニスモGT-Rが、今年積極的に使用している「タイヤ無交換作戦」を敢行。これで5位に上がるものの、灼熱のマレーシアではタイヤの消耗が激しく、一気に順位を落としていってしまう。その後はペトロナストムスSC430の中嶋一貴とZENTSC430の立川祐路のバトルが白熱。SUPER GT最速の称号を持つ立川に、GT500参戦1年目の一貴が応戦。最終的に立川に軍配が上がるが、レースのハイライトとなった。

こうして、レース後半は全くTV画面に映る事がなかったウイダーHSV-010が、今季初勝利を獲得。王者として、チャンピオンマシンとして、これまでの汚名を返上する素晴らしい走りを見せつけた。2位は、S Road MOLAGT-R。3位にはKEIHIN HSV-010が入った。

レース後のインタビューで、「“勝たなければいけない”というプレッシャーから開放され、ホッとした」とコメントした小暮。これでチャンピオン争いでも、首位ニスモGT-Rに2ポイント差に迫る3位まで浮上。後半戦のチャンピオン争いも注目が集まり始めてきた。


■SUPER GT第3戦:GT500クラス決勝結果■
1位:1.ウイダーHSV-010(小暮/デュバル)
2位:46.S Road MOLA GT-R(柳田/クインタレッリ)
3位:17.KEIHIN HSV-010(金石/塚越)


【GT300クラス:ついに痛車がS-GT制覇!最終ラップの攻防戦を制した初音ミクBMWが初優勝!】
GT300クラスは、初音ミクBMW Z4がポールポジションを獲得。直線での速さを武器に、スタートからエースドライバーの谷口信輝が一気に2位以下を引き離しにかかる。
2位はイカ娘フェラーリと3位JIM GAINERフェラーリ458による「フェラーリ同士」のバトルが展開される。今年から新登場したフェラーリ458、事前テストなしで投入されたマシンで2戦連続で2位と絶好調だ。だが、これにより60kgの大きなウエイトハンデを背負う事になり、2位イカ娘フェラーリを攻略する事が出来ない。こうして、2位争いが激化している間に、30秒近い貯金を作った谷口。「初優勝の夢」を後半の番場琢に託す。

一方、毎年マレーシア戦では圧倒的な強さを見せ付けるエヴァ紫電。予選はトラブルで走る事が出来ず最後尾からのスタートを余儀なくされるが、あっという間に上位争いに加わる。最後は表彰台も狙える位置まで来たが、ドアが開いてしまうアクシデントに見舞われ、修復のため緊急ピット。10位に後退してしまう。

残り10周。初音ミクBMWの圧勝かと思われたGT300クラスは、誰もが予想していなかった結末を迎える。開幕戦からの活躍で60kgのウエイトハンデを積んでいるはずの11号車フェラーリ458が、1周あたり1.5秒速いペースで初音ミクBMWに急接近。残り2周のバックストレート手前で一瞬並ばれかけるが、ドライバーの番場もスピード勝負で振り切る。ファイナルラップもフェラーリ458の猛追を振り切った初音ミクBMWが、念願のGT300クラス初優勝を獲得した。

レース後のインタビューで、フェラーリ458との激闘を制した番場琢は、感極まって涙を見せた。その涙には、今回の優勝以上の「想い」が詰まっていた。
“痛車”として「初音ミク」がSUPER GTに参戦を始めたのは2008年。最初は偏見の目もあり、またファンからの注目は予想以上。いつも期待されるほどの結果を残せず、苦労し続けてきたチームだ。特に2009年後半から初音ミク号で闘い続けてきた番場琢にとっては、苦労の連続であった事は間違いない。しかし、それでも必死に「優勝する日を夢見て」参戦し続けてきた初音ミク号。
その苦労が、やっと今回のセパンで報われた瞬間だった。


■SUPER GT第3戦:GT300クラス決勝結果■
1位:4.初音ミク グッドスマイルBMW Z4(谷口/番場)
2位:11.JIM GAINER フェラーリ458(田中/平中)
3位:27.イカ娘フェラーリ F430(山内/山岸)

『記事:吉田 知弘(ビギナー観戦塾)』