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INDY JAPAN THE FINAL決勝レポート:最初で最後のロードコース63Laps

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今年で最後となるINDY JAPAN THE FINALの決勝レースが18日(日)ツインリンクもてぎで行われた。快晴に恵まれたツインリンクもてぎには、早朝から55000人が来場。14年続いたアメリカ最高峰のオープン・ホイール・カーレースを目に焼き付けようと、サーキットは熱気に包まれた。また今回は初のロードコース開催ということで、いつもとは違い各コーナーで観戦するファンも多く、今までのインディとは違うロードコース独特の雰囲気となった。

【全員が未体験のもてぎロードコースでのインディ】
午後1時からスタートした決勝レース。スタートからポールポジションのスコット・ディクソン(ターゲット・チップ・ガナッシ・レーシング)と、2位のウィル・パワー(チーム・ペンスキー)の一騎打ちの戦いとなり、2台だけ異次元の速さでリードするレース展開になる。

一方、後方から追い上げとなった日本勢。11位スタートの佐藤琢磨(KVレーシング・テクノロジー-ロータス)は、スタートでポジションを上げ10位走行。前を走るマルコ・アンドレッティを追いかけるレースを見せる。スポット参戦を果たした武藤英紀(サム・シュミット・モータースポーツ)は22位スタート。一発逆転を狙って2周目にピットイン。タイヤ交換義務(F1同様、インディにもハード側“ブラックタイヤ”とソフト側“レッドタイヤ”の使用義務がある)を済ませてブラックタイヤからレッドタイヤに履き替えて、順位アップを果たす。

【日本勢には誤算となった展開/1回目のフルコースコーション】
初のロードコース開催で、手探り状態の各ドライバー。なかなか追い抜きのチャンスを作れず混沌としたレースが続いていたが、19周目に大きな動きをみせる。10位を走っていた琢磨に、現在国内レースで活躍中のジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(コンクエストレーシング)がヘアピンで抜きにかかるも接触。2台はコースアウトし琢磨は16位まで後退。オリベイラも直後に燃料系のトラブルで、ビクトリーコーナー手前でストップ。リタイヤとなってしまう。これが原因で1回目のフルコースコーション(コース全周で追い越し禁止)となるが、このコーションが出るタイミングと武藤が給油のためピットに入るタイミングが重なってしまった。ピット入り口のラインを超えていなかった武藤はピット作業を行う事が出来ず、ドライブスルーをしてコースに復帰、コース上の隊列が整ってピットオープンになった後に再度ピット作業に戻ってきた。これによりアンダーカットの戦略は台無しになり、またしても後方に沈んでしまう。

【ランク首位のフランキッティが失態!/2回目のフルコースコーション】
こうして混乱が多かった1回目のフルコースコーション。コースの安全も確認され、25周でリスタートが切られる。しかしもてぎロードコースの狭い1コーナーで順位アップを狙った各マシン。そこでまたしても混乱がおき、ランク首位のダリオ・フランキッティ、ライアン・ブリスコー、グラハム・レイホールらが多重クラッシュ。再度フルコースコーションとなる。
ランキング首位を走っていたフランキッティだが、予選で9位、決勝でもクラッシュに巻き込まれるなど、流れの悪い週末を送り、最終的には8位でチェッカー。ポイントランキング首位の座をパワーに明け渡す事になった。

【琢磨が“ここだ!”と狙った瞬間/3回目のフルコースコーション】
2回目のコーションも28周でリスタートが切られ、その後は特に大きな混乱もなくレースが進んでいった。しかし、初めてのロードコースでコースアウトやミスをするドライバーが多く、なかなか前を追い抜くチャンスが作れなかった琢磨も9位までジャンプアップを果たしていた。
序盤の接触・コースアウトで後方に沈んだが、最後まで諦めないレーススタイルに、全コーナーのファンも、大きな声援で彼を後押し。特に最終コーナー付近の佐藤琢磨応援席は毎周琢磨が帰ってくる度に、旗が振られ、大きな声援が送られていた。

そして残り7周。彼の前方を走っていたライアン・ハンターレイとセバスチャン・ブルデーが3コーナーで接触。間一髪で琢磨は接触を回避できたが、これで7位に浮上。さらに3回目のフルコースコーションが入り、全車のタイム差がゼロになった。
一方、後半は安定した速さでパワーを圧倒していた1位ディクソンだったが、このコーションで6秒の貯金が水の泡になり、ピンチを迎えてしまう。

ピンチのドライバー、チャンスのドライバーが入り乱れる中、1度マルコ・アンドレッティが隊列を乱し、やり直しが入った残り2周のところでインディジャパン最後のリスタートが切られた。そこで抜群なスタートをきった琢磨だったが、チームメイトのE・J・ヴィソと1コーナーでまさかの接触。またしても後方に沈んでしまう悔しいレースとなってしまった。

トップ争いは3度のコーションがありながらもトップを守り続けたディクソンが優勝。2009年のもてぎオーバルと、今回ロードコース。もてぎの両コースを制した唯一のドライバーとなった。2位にはウィル・パワー、3位はマルコ・アンドレッティ。日本勢は佐藤琢磨が10位、武藤英紀が18位となった。

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1位スコット・ディクソン(ターゲット・チップ・ガナッシ・レーシング)
「本当に嬉しい!今週末はマシンも完璧でストレスなく走れた。チームの働きに感謝したいね。もてぎのオーバルとロードで勝てて嬉しいが、これが“FINAL”というのは残念だ。近い将来、またここに来れることを楽しみにしているよ!」

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2位ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)
「今回はチャンピオン争いなど、ポイント関係の事は考えず、とにかく良いレースをすることだけに集中して走った。」

3位マルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・モータースポーツ)
「もてぎはトラック(コース)もファンも、とても素晴らしくて、今回で最後になるのが本当に残念。そのレースで表彰台に上がれてよかった。」

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10位佐藤琢磨(KVレーシング・テクノロジー-ロータス)
「最後のリスタートでEJと接触したのは納得がいかないです。素早いリスタートが切れて、1コーナーでは完璧にEJの前に出ていたのに、強引に外から被せてきた。あの状況だったら、安全面も考えてスペースを空けるべきだったと思う。最後のインディジャパンで、こういう形で終わってしまい、不完全燃焼ではあるが皆さんが毎周旗を振ってくれて応援してくれているのが分かって、気合が入りました。応援してくれたファンの皆さんに感謝したいです。」

18位武藤英紀(サム・シュミット・モータースポーツ)
「後方からのスタートになってしまい、2周目に入るという作戦を選んだのですが、その後順位を上げることができたので、上手くいっていました。ただ1回目のコーションのタイミングが悪く、ピットラインを超える直前でコーションになってしまい、そこで大きくロスする形になりました。せっかく応援しに来てくれたファンの前で後方に沈んでしまい申し訳なかったですが、毎周応援してくれている姿が目に入り、最後まで諦めずに攻め続けました。」


『記事:吉田 知弘』