【SUPER GT】SC続出の荒れた開幕戦、GT500は王者au TOM’S GR Supraが圧勝。GT300は巧な作戦でLEON PYRAMID AMGが制す

  • 2025/4/26
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 4月12〜13日、岡山県・岡山国際サーキットで2025 AUTOBACS SUPER GT Rd.1『OKAYAMA GT 300km RACE』が開催された。決勝レースではGT500クラスは1号車au TOM’S GR Supra(坪井翔/山下健太)、GT300クラスは65号車のLEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/菅波冬悟)が優勝を飾った。

 3月に実施された2度の公式テストを経て、スーパーGTの2025年シーズンが幕を開けを迎えた。今季はGT500クラスに15台、GT300クラスに28台と総勢43台がエントリーしている。そんなGTマシンは、12日(土)の午前9時30分から開始された公式練習から走行を開始し、コースサイドには桜も咲く岡山国際サーキットにエンジン音を響き渡らせた。

 この日は事前の岡山公式テストとは打って変わり、青空が広がる下で各車が一斉にスタート。ここでは各車がコースやマシンの感覚などを確認している様子で、アタックシミュレーションを実施するチームはやや少ないようにも見受けられ、終始赤旗中断などもなくスムーズに進んだ。確認や調整を行った各車は、それぞれ午後の予選へと駒を進めた。

【SUPER GT】SC続出の荒れた開幕戦、GT500は王者au TOM’S GR Supraが圧勝。GT300は巧な作戦でLEON PYRAMID AMGが制す
1号車au TOM’S GR Supra(坪井翔/山下健太)/2025スーパーGT第1戦岡山(Photo:Minami Hiroyuki)

 今季は2024年に導入されたタイム合算方式が変更となり、2023年まで採用されていたノックアウト方式が復活。Q1からQ2への進出台数と使用できるタイヤの本数が変更されている。GT500クラスは8台から10台に増加され、GT300クラスは、グループA・Bともに8台から9台ずつに変更。タイヤはQ1で1セット、Q2で1セットの計2セットが使用できるものとなっている。

 GT500クラスは、朝の公式練習から好調な1号車au TOM’S GR SupraがQ1でも速さを見せ、山下健太が1分17秒157を記録してトップで通過した。続くQ2では、後半にかけてレコード更新の激闘が繰り広げられた。まずは、1号車au TOM’Sの坪井翔が1分16秒516のコースレコード更新タイムを叩き出す。2番手以降は順位が入れ替わっていくものの、少しの間坪井のタイムを越えるものは現れなかった。

 ところが、14号車ENEOS X PRIME GR Supraの福住仁嶺が全体ベストをマークした渾身のアタックで1分16秒441まで短縮。新たなコースレコードタイムを樹立し、1号車au TOM’Sと0.075秒差でポールポジションを獲得した。2番手に1号車au TOM’S、3番手に24号車リアライズコーポレーション ADVAN Z(松田次生/名取鉄平)が続く結果となった。

 GT300クラスはQ1から激しいタイム合戦が繰り広げられていたが、Q2ではさらに激化。序盤からタイムが次々に更新されるなか、朝の公式練習でトップタイムをマークしていた61号車SUBARU BRZ R&D SPORT(山内英輝)が、Q1でのタイムを大幅に上回るタイムを更新して速さを見せた。しかし、最後に渾身のアタックを見せた4号車グッドスマイル 初音ミク AMG(片岡龍也)がさらにタイムを短縮させ、見事ポールポジションを獲得した。

 2番手には777号車アストンマーティン・バンテージAMR LMGT3、3番手に61号車 SUBARU BRZというトップ3に。また、王者0号車VENTENY Lamborghini GT3はQ2進出を決めたものの、15番手と沈む結果となった。

【GT500】リスタート後からアクシデントぼっ発。王者au TOM’Sが終始強さを発揮

 予選日は午後から少しし雲が広がるものの、終始ドライコンディションでの走行となったが、夜から決勝日の13日(日)にかけて雨が降る天候に変化。午後の決勝レースを前にしても雨が降り注ぎ、ウエットコンディションで開始を迎えることとなった。悪天候なことを考慮し、13時10分にセーフティカー(SC)先導の下で始まった。

 レースは5周目からスタートしたが、直後の1コーナー立ち上がりで38号車KeePer CERUMO GR Supraの石浦宏明がスピンを喫してしまう。その際に12号車TRS IMPUL with SDG Z、16号車ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GTが避け切れずに接触する形となる多重クラッシュが発生し、早々に赤旗が掲示される事態に。中断を経て再びSC先導で再開されると、11周目にリスタートが切られた。

スタートシーン/2025スーパーGT第1戦岡山
スタートシーン/2025スーパーGT第1戦岡山(Photo:Minami Hiroyuki)

 ここでは大きなクラッシュなどもなくスタートし、早々に1号車au TOM’Sが14号車ENEOSを捉えてトップに浮上。すると、14周目には3度目のSCが導入されることとなり、荒れた展開が続く。19周目にレースが再開され、やや雨が弱まった状態でレースが進んでいくが、レース距離の半分を前に再び強まるなど、レースだけでなく天候も目まぐるしく変わっていく。

 その状況下で速さを見せたのが、37号車Deloitte TOM’S GR Supraだった。少しずつ順位を上げていき、100号車STANLEY CIVIC TYPE R-GTを華麗に交わすと3番手に浮上し、GR Supraがワン・ツー・スリーを独占する。トップの1号車au TOM’Sも淡々と後方の14号車ENEOSを引き離していた。

 中盤頃になるとピットのタイミングが訪れるが、GT500クラスは全チームがウエットタイヤからウエットタイヤに履き替え。しかし、レースが進むにつれて雨が弱まりつつあり、それを見兼ねた100号車STANLEYが56周目に2度目のピットに入り、スリックタイヤに交換し勝負に出た。コースへと復帰すると速いペースを披露し、それに続いて各車がスリックタイヤへと履き替えていき、その後全車が履き替えることとなった。

 このままクリーンなドライでのレースに移行されるかと思いきや、66周目には5番手争いを展開していた19号車WedsSport ADVAN GR Supraと8号車ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GTが最終コーナーで接触。このアクシデントでフルコースイエロー(FCY)が導入され、さらにSCに切り替わる展開に。それにより温まっていたタイヤが冷え始めてドライアップが必要な状態となるだけでなく、各車のギャップがリセット。

 マージンを築いていた1号車au TOM’Sにとっては痛手となったが、再開後も素早くタイヤを温めてリードを少しずつ回復させ、見事にトップを守り切ってチェッカーを受けた。2位は14号車ENEOS、3位はDENSO KOBELCO SARD GR Supraが続き、トヨタGR Supraが表彰台を独占する開幕戦となった。ホンダ勢トップは4位の100号車STANLEY、ニッサン勢は23号車MOTUL AUTECH Zの6位が最上位という結果で終えている。

【SUPER GT】SC続出の荒れた開幕戦、GT500は王者au TOM’S GR Supraが圧勝。GT300は巧な作戦でLEON PYRAMID AMGが制す
GT500クラスのポディウムの様子/2025スーパーGT第1戦岡山(Photo:Minami Hiroyuki)

【GT300】白熱のトップ争い。ペナルティを跳ね除け65号車LEON PYRAMID AMGが勝利

 GT300クラスはSC先導後の4周目からスタートを迎えると、777号車D’station Vantage GT3が4号車初音ミク AMGからトップを奪った直後に赤旗が掲示されることに。再開後は777号車D’station Vantage GT3が首位で牽引していき、後方では4号車初音ミク AMGと61号車SUBARU BRZの2番手争いが展開されていた。

 この勝負に勝った4号車初音ミク AMGは、再び777号車D’station Vantage GT3に追いついてサイド・バイ・サイドのバトルを繰り広げるが、パイパーコーナーで接触してしまう。このことから検証の対象となり、トップを奪い返した4号車初音ミク AMGにドライブスルーペナルティが課され、消化した後は6番手へポジションを落としてしまった。

 そこでトップに浮上してきたのは、65号車LEON PYRAMID AMGだった。好ペースを披露してギャップを築いていき、レース折り返しの43周目にピットへ入り、レインタイヤの無交換でコースへ復帰。すると、その後方2番手を走っていた18号車UPGARAGE AMG GT3、および4号車初音ミク AMGはスリックタイヤを投入した。

【SUPER GT】SC続出の荒れた開幕戦、GT500は王者au TOM’S GR Supraが圧勝。GT300は巧な作戦でLEON PYRAMID AMGが制す
65号車のLEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/菅波冬悟)/2025スーパーGT第1戦岡山(Photo:Minami Hiroyuki)

 雨が少しずつ止み始め、路面が回復していくと同時にスリックタイヤを履いたチームがタイムを上げ始め、ウエットタイヤを装着していた上位勢が次々にスリックタイヤへと交換するためにピットイン。規定周回数ギリギリまで天候と路面の回復を待ち1ピットで済ませていたチーム、対して早々にピットに入りウエットタイヤを履いていたチームは2回のピットが必要となり、そこが今回は大きく順位を左右する展開となった。

 そこで1ピットのみの作戦を遂行した18号車UPGARAGE AMG GT3は、2度のピット作業を強いられた65号車LEON PYRAMID AMGを仕留めることに成功し、トップに立った。さらに3番手には同様の1ピット作戦を遂行していた26号車ANEST IWATA RC F GT3が浮上していた。

 63周目にはGT500のアクシデントによりFCYからSCランへと切り替わり、全車のギャップはリセットされ、レースは残り10周のスプリント勝負へと持ち込まれた。リスタート後、優勝を賭けたトップ争いが勃発し65号車LEON PYRAMID AMGが再び先頭を奪い返した。ところがサイド・バイ・サイドのバトル中に2台には接触があり、18号車UPGARAGE AMG GT3は押し出される形で4番手に順位を下げてしまう。

 これにより65号車LEON PYRAMID AMGには5秒のタイムペナルティが課されることになったが、2番手と5秒以上の差を広げていた。残り少ない数回数でも淡々とギャップを広げていき、5秒のペナルティを物ともしない14.718秒差をつけてトップでチェッカーを受けた。2位には26号車ANEST IWATA RC F GT3が続き、巧な1ピット作戦でチーム初の表彰台を獲得した。3位にはリアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R(J.P.デ・オリベイラ/平手晃平)が入った。

 2025年シーズンの緒戦は2度のFCY、そして4度のSCと両クラスともに荒れた展開での幕開けとなった。今年も激戦となることが予想されるが、毎戦どのようなバトルが繰り広げられるだろうか。次戦となる第2戦『FUJI GT 3HOURS RACE』は、5月3〜4日に静岡県・富士スピードウェイにて開催される。

/2025スーパーGT第1戦【SUPER GT】SC続出の荒れた開幕戦、GT500は王者au TOM’S GR Supraが圧勝。GT300は巧な作戦でLEON PYRAMID AMGが制す
65号車のLEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/菅波冬悟)/2025スーパーGT第1戦岡山(Photo:Minami Hiroyuki)
【SUPER GT】SC続出の荒れた開幕戦、GT500は王者au TOM’S GR Supraが圧勝。GT300は巧な作戦でLEON PYRAMID AMGが制す
GT300クラスのポディウムの様子/2025スーパーGT第1戦岡山(Photo:Minami Hiroyuki)

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