【ル・マン24時間】アウディ勢が表彰台を独占!ロッテラー、トレルイエ、ファスラー組が2連覇達成!

ルマン決勝9『Photo:Audi Sport』
『Photo:Audi Sport』

第80回ル・マン24時間レースは、日本時間の17日(日)22時にゴールを迎え、スタートから安定した走りでトップを守り続けた1号車アウディR18 e-トロン クワトロ(A・ロッテラー/M・ファスラー/B・トレルイエ)が378周で総合優勝を飾った。

16日、曇り空の中でスタートした今年のル・マン24時間レース。序盤に雨が少し降ったものの、2時間経過以降はドライコンディションが続いたレースとなった。ポールポジションからスタートした1号車アウディR18は、2011年フォーミュラ・ニッポン王者のアンドレ・ロッテラーが快走をみせ、一気に後続を引き離した。

ルマン決勝10『Photo:toyota』
『Photo:Toyota』

今回のル・マンで注目を集めていたトヨタTS030ハイブリッドは、出だしでアウディ勢に先行を許すも3時間を過ぎたところから少しずつ追い上げ、4時間30分に差し掛かったところで、ついに7号車トヨタTS030ハイブリッド(A・ブルツ/N・ラピエール/中嶋一貴)がトップの1号車アウディを抜いてトップに浮上する。しかし、その直後にユノディエール終りのミュルサンヌ手前で8号車トヨタTS030(A・デビッドソン/S・ブエミ/S・サラザン)が周回遅れでパスしようとした81号車のフェラーリ458と接触。時速300kmに近い状態で接触し、バランスを失ったトヨタTS030は空中で1回転し、タイヤバリアに激突。当時乗り込んでいたデビッドソンは救急車でメディカルセンターに運ばれたが、幸い無事で意識はあった。しかし病院での診察の結果、脊椎に一部損傷があったことが判明、全治3ヶ月と診断されている。

このクラッシュで破損したガードレールを修復するため、約1時間15分にわたってセーフティカーの先導走行が続く。この間にピットをした関係で1号車アウディが再びトップ、2位に7号車トヨタTS030の順位で現地時間の21時14分にレースが再開される。

セーフティカー中のピットインで7号車TS030のステアリングを握ることになった中嶋一貴。トラフィックに苦しむ1号車アウディの背後に迫りトップを狙うが、その際に本山哲が駆る0号車ニッサン-デルタウイングと接触。マシンにダメージを追い、ピットで修復作業を行い順位を落とす。また0号車は接触されバランスを失い、ウォールにマシンをヒット。本山が自らマシンを修復してピットに戻ろうと懸命に努力するも、残念ながらリタイヤを余儀なくされてしまった。

マシン修復を終えてコースに戻ろうとした7号車トヨタTS030だが、今度はオルタネーターのトラブルが発生し、現地時間の深夜にリタイヤすることとなってしまった。
13年ぶりにワークスマシンをル・マンに送り込んだトヨタだったが、TS030ハイブリッドのデビュー1年目は2台ともリタイヤという悔しい結果に終わった。

ルマン決勝8『Photo:Audi Sport』
『Photo:Audi Sport』

最大のライバルが消えたアウディ陣営は、小さなアクシデントに巻き込まれるシーンもあったが順調に周回を重ね、スタートから17時間を経過したところで1~4位をアウディR18が独占する展開となる。

その中でも、激しい優勝争いを繰り広げたのが1号車アウディR18 e-トロン クワトロ(A・ロッテラー/M・ファスラー/B・トレルイエ)と2号車アウディR18e-トロン クワトロ(A・マクニッシュ/R・カペッロ/T・クリステンセン)の2台。夜明け以降に少しずつ追い上げてきていた2号車アウディが残り3時間というところで、ついに1号車アウディの背後に迫るが、ここにきて2号車アウディがポルシェカーブで痛恨のクラッシュ。何とかピットまで自走で戻り、メカニックたちの迅速な修復でポジションを守ることは出来たものの、1号車アウディとの間隔が大きく開いてしまう。

これで後方からのプレッシャーがなくなった1号車アウディは、エースのアンドレ・ロッテラーにバトンタッチ、最後は1号車を先頭に4台のアウディR18が編隊を組んで、チェッカーを受けた。

ルマン決勝7『Photo:Audi Sport』
『Photo:Audi Sport』

これで優勝した1号車のA・ロッテラー/M・ファスラー/B・トレルイエは、昨年に引き続きル・マン2連覇の快挙を成し遂げ、2位に2号車、3位に4号車と、アウディ勢が表彰台を独占。ライバルたちと変わらずレース中に何度かアクシデントに見舞われるシーンがあったものの、それを短時間で修復する準備と経験、そしてチームワークで掴んだ完全優勝だった。

また、中嶋一貴、本山哲を中心に6人の日本人ドライバーがエントリーした今年のル・マンだったが、完走を果たしたのは45号車オレカ・ニッサンに乗り込んだ中野信治のみで、総合24位(LMP2クラス10位)だった。

『記事:吉田 知弘』

吉田 知弘(Tomohiro Yoshita)

投稿者プロフィール

フリーのモータースポーツジャーナリスト。主にF1やSUPER GT、スーパーフォーミュラの記事執筆を行います。観戦塾での記事執筆は2010年から。翌年から各サーキットでレース取材を重ねています。今年はSUPER GTとスーパーフォーミュラをメインに国内主要レースをほぼ全戦取材しています。
初めてサーキット観戦される初心者向けの情報コーナー「ビギナー観戦塾」も担当。

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