【F1】第9戦イギリスGP:プレビュー

F1イギリスプレビュー2『Photo:Pirelli』
『Photo:Pirelli』

2012年のF1世界選手権も、いよいよ中盤戦に突入。今週末は第9戦イギリスGPが7月6~8日の日程で開催される。

今回の舞台は、イギリス・オックスフォード郊外にあるシルバーストンサーキット。第2次世界大戦中の軍用飛行場だった場所にサーキットを建設し、1950年のF1世界選手権第1回大会が開催された伝統の地だ。

【スペインGP以来のハードタイヤ登場】
今回、ピレリタイヤはソフトタイヤ(黄)とハードタイヤ(銀)の2種類のドライタイヤを全チームに供給。ここ数戦は1ストップ作戦をここ見るドライバーも多かったが、今回は平均でも2~3回のピットストップが予想される。

Pirelli_P_Zero_Soft YELLOW_01 Pirelli_P_Zero_Hard SILVER_01
[左:ソフトタイヤ、右:ハードタイヤ]
『Photo:Pirelli』

このコースの特徴は、各コーナーの通過スピードが高いこと。高速でのコーナリングでも安定して走行できる空力性能が求められるが、同時にタイヤにも大きな負担がかかるため、タイヤマネジメントも重要視されるサーキットで、各チームがどのような戦略を組み立ててくるのか、注目が集まる。

【まだまだ行方が分からないチャンピオン争い。シルバーストンでトップに躍り出るのは?】
開幕から7戦連続で勝者が異なるという、F1史上でも例を見ない大混戦となっている今季。しかし、前回ヨーロッパGPでもフェルナンド・アロンソ(フェラーリ)が今季2勝目を飾り、ポイントランキングでも2位マーク・ウェバー(レッドブル)いかに20ポイントの差をつけ、頭一つ抜け出した。

ポイントランキング

ただ今年のF1は各チームの実力さが非常に少なく、このアロンソの20ポイントリードも、シーズン全体を考えると「アドバンテージはない」に等しいと言えるかもしれない。ここイギリスでは、ランキングトップを走るアロンソにとっては連勝して一気に後続とのポイント差を広げ、チャンピオン争いでも逃げていきたいところ。一方、追いかける立場のライバルたちはアロンソを食い止め、ポイント差を少しでも縮めたいところ。特に今年のような実力差が拮抗しているシーズンは、こうした各レースでの“小さな積み重ね”が重要になってくるので、今回もチェッカーまで一瞬たりとも目が離せないレースになりそうだ。

【スペインGPでの勢力図が、今週末の“ヒント”に?】
何度もお話しているとおり、今年は僅差でのバトルが続いている。その中でも今週末のレースを占う上で、一つ参考になってくるのが「第5戦スペインGP」だ。
今回のシルバーストンサーキットとスペインGPのカタロニアサーキットは、高速コーナーが多く、タイヤへの負担も大きい。さらに持ち込まれるピレリのドライタイヤの組み合わせも「ソフト」「ハード」と同じ。この2サーキットには共通点が多い。

そのため、スペインGPの結果と今回の結果がリンクすることが、しばしばある。
5月のスペインGPでは、レッドブル、マクラーレン勢が失速、変わりにパストール・マルドナード(ウィリアムズ)が台頭。ポイントリーダーであるアロンソも2位表彰台を獲得。キミ・ライコネン、ロマン・グロージャンとロータス勢が続いた。

EUROPA F1 GRAND PRIX 2012 SPANISH GRAND PRIX F1/2012
[左:フェルナンド・アロンソ、右:パストール・マルドナード(Photo:Pirelli)]

あれから2ヶ月が経ち、各マシンのアップデートも進んでいるため、位置外にウィリアムズ、フェラーリ、ロータスが有利とは言えないが、可能性は十分にあるだろう。
そしてスペインGPで光る走りを見せていたのが小林可夢偉(ザウバー)だ。予選でQ3進出を果たすと、レースでも大きなトラブルもなく、ソフト・ハードの両タイヤで安定した速さを披露。自己最高位タイとなる5位でフィニッシュした。
前回ヨーロッパGPでは不運なアクシデントが続きリタイヤとなってしまった。しかし予選7位、決勝でも一時は4位を快走するなどトップレベルで争えるマシンの状態である事は証明されている。

小林可夢偉『Photo:SauberF1Team』
『小林可夢偉(Photo:SauberF1Team)』

前回リタイヤ時の接触の原因を作ったとして、今回は5グリッド降格ペナルティを受けることになっており、いつも以上にハンデを背負うレースとなるが、レース後に開幕するロンドンオリンピックに出場する日本人選手を勇気づけられるような、“可夢偉らしい”元気な走りを期待したい。

【気まぐれな天候が今回もキーポイントに?】
今週末のレースを占う上で、もう一つ忘れてはいけないのが「天候」だ。イギリスは天気が変わりやすいことで有名。これまでもレース中に何度も天気がかわり、各チームが混乱するレースが見られてきた。

F1公式サイトに掲載されている天気予報でも、今週末は3日間とも雨絡みになる予報。今年は第2戦マレーシアGPでスコールにより雨用タイヤを使用することがあったが、それ以外はほぼドライコンディションでレースが行われている。

今週末は「天気」を味方に付けられるかも、重要な要素となってきそうだ。

Pirelli_Cinturato_Intermediate GREEN_01 Pirelli_Cinturato_Rain_BLUE_01
[左:インターミディエイト(少雨用)、右:ウエット(豪雨用)]
『Photo:Pirelli』

注目の第9戦イギリスGPは、日本時間の7月7日(土)21時00分から公式予選、8日(日)21時00分から決勝レースが行われる。

『記事:吉田 知弘』

吉田 知弘(Tomohiro Yoshita)

投稿者プロフィール

フリーのモータースポーツジャーナリスト。主にF1やSUPER GT、スーパーフォーミュラの記事執筆を行います。観戦塾での記事執筆は2010年から。翌年から各サーキットでレース取材を重ねています。今年はSUPER GTとスーパーフォーミュラをメインに国内主要レースをほぼ全戦取材しています。
初めてサーキット観戦される初心者向けの情報コーナー「ビギナー観戦塾」も担当。

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