【F1】最終戦ブラジルGP:レースレポート(決勝結果あり)

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『Photo:Pirelli』

3月に開幕した2012年のF1世界選手権も、いよいよ最終戦ブラジルGPの決勝レース迎えた。決勝日の25日(日)のインテルラゴス・サーキットは厚い雲に覆われ、天気予報通り今にも雨が降ってきそうな様子。この天気がレースの勝敗を大きく左右する結果となった。

ポールポジションはルイス・ハミルトン、2番手ジェンソン・バトンとマクラーレン勢がフロントローを独占。注目のチャンピオン争いをするセバスチャン・ベッテル(レッドブル)は4番手、フェルナンド・アロンソ(フェラーリ)は8番手からの逆転チャンピオンを目指した。

スタートではマクラーレン2台が順調に1コーナーへ飛び込むがベッテルがやや出遅れフェラーリ2台の先行を許す。さらに追い打ちをかけるかのようにインテルラゴス特有のスタート直後の狭いスペースの中でスピン。幸い他車とのクラッシュはなかったのもの、最後尾まで順位を落としてしまう。この混乱の隙にアロンソは一気に3位まで浮上。表彰台圏内でのフィニッシュが必須だったが、ベッテルも最後尾に沈んだということで、いきなりアロンソ逆転チャンピオンの条件が揃ってしまった。

コース幅が狭く、抜きどころが少ないインテルラゴス。さすがに最速マシンを手にしているベッテルでも“奇跡が起こらない限り”ポイント圏内まで挽回してくるのは不可能と思われた。しかし、ここから大混戦のシーズンを締めくくるに相応しい白熱したレースが始まっていった。

自身の3連覇のために何が何でも前に行かなければいけないベッテルは翌周から追い上げを開始。狭いコース、小雨がパラつく難しいコンディションの中、次々と順位を上げ、なんと9周目には6位まで挽回してみせた。これによりアロンソはさらにポイントが必要になり、表彰台だけではなく優勝しなければならなくなった。

スタートから降り始めていた雨は少しずつ強くなり、5周を終えたところでキミ・ライコネン(ロータス)、ミハエル・シューマッハ(メルセデスAMG)がインターミディエイトタイヤを求めてピットインすると、続々と各チームが動き出す。しかし、こういった微妙な天候変化に強いバトンは逆にコースに留まることを選択。その結果、数周で雨足は弱まり、大半のドライバーが再びドライタイヤに交換するためピットに戻る事になってしまった。

これで後続に対して一気に40秒以上のリードを築いたバトン。その後、同じ戦略でコースに残っていたニコ・ヒュルケンベルグ(フォースインディア)に抜かれて2位に後退。ちょうど、レース中の接触等でコース上にばら撒かれた破片の量が多いため、23周目にセーフティカー導入。これで彼らの40秒以上あったリードが失われてしまう。

この間にヒュルケンベルグ、バトンともにハードタイヤに履き替え後半戦へ。29周目にヒュルケンベルグが先頭でレースが再開されると上位陣の激しい順位争いが勃発。31周目にハミルトンがバトンを抜いて2位に上がると、その後ろはなかなかトップ集団に追いつけないアロンソと、最後尾から這い上がってきたベッテルの直接対決。そこに14番手スタートからコツコツと順位を上げてきた小林可夢偉(ザウバー)と、母国GPで気合が入るマッサも加わり、白熱したバトルが繰り広げられた。

18周目にトップに立って以降、約30周近くその座を守り続けてきたヒュルケンベルグだが、ついにハミルトンに追いつかれ49周目に抜かれてしまう。それでも初優勝に向けて果敢に猛追。この気合が空回りしてしまい、55周目の1コーナーで接触。これでマシンにダメージを負ったハミルトンはまさかのリタイヤを余儀なくされ、ヒュルケンベルグも緊急ピットイン。後にドライブスルーペナルティを受け、初優勝のチャンスが潰えてしまった。

この直前から再び雨が強くなり、ドライタイヤでの走行が困難と判断した各チーム。再度ドライバーたちをピットへ呼び戻し、インターミディエイトタイヤに交換する。

『Photo:Pirelli』60周を過ぎたところで順位が落ち着き、バトンが再びトップに浮上。アロンソ、マッサと続きベッテルは6位。このままだと281ポイント対278ポイントでベッテルがチャンピオンになる計算。それを阻止したいアロンソ、残された方法は優勝しかない。しかし、この時点で約20秒の差ある上に、残り2周というところでポール・ディ・レスタ(フォースインディア)が1コーナーでクラッシュ。これで2度目のセーフティカーが導入され、万事休す。コース全域がイエロー状態のままチェッカーを迎え、バトンが今季3勝目を手にした。

チャンピオン争いの2人も最後まで順位は変わらず、アロンソ2位、ベッテル6位。この瞬間、わずか3ポイント差でベッテルが2012年のドライバーズチャンピオンを獲得。ファン・マヌエル・ファンジオ(1954〜1957年:4年連続)、ミハエル・シューマッハ(2000〜2004年:5年連続)に続く史上3人目、最年少での3連覇を達成した。

中盤、上位で見せ場を作った可夢偉は結局9位で2ポイント獲得。残念ながら終盤戦で目標としていたメルセデスAMGをコンストラクターズランキングで逆転することは出来なかったが、3年間ともに戦ったザウバーチームでの最後のレースで見事ポイントを獲得した。

『Photo:Pirelli』昨日の予選終了後、車検場内で険しい表情をみせていたベッテル。チャンピオン防衛のプレッシャーから開放され、パルクフェルメに戻ってきた。表彰台でのフィニッシュではないため、4位以下のマシンが多数並ぶ位置で停車。マシンを降りると拳を突き上げ喜びを爆発させた。すると、そこに今季限りで引退するミハエル・シューマッハ(メルセデスAMG)が歩み寄り、母国の後輩が成し遂げた偉業を祝福。これが実質2度目の引退となるが“シューマッハからベッテルへ”新しい世代にF1が託された瞬間だった。

これで20戦に及んだ今年のF1世界選手権が終了。今年は6人のチャンピオン経験者が集い、8人のウィナーが誕生する大混戦のシーズンとなったが、それを締めくくるに相応しい1戦となった。

『Photo:Pirelli』
『記事:吉田 知弘』

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吉田 知弘(Tomohiro Yoshita)

投稿者プロフィール

フリーのモータースポーツジャーナリスト。主にF1やSUPER GT、スーパーフォーミュラの記事執筆を行います。観戦塾での記事執筆は2010年から。翌年から各サーキットでレース取材を重ねています。今年はSUPER GTとスーパーフォーミュラをメインに国内主要レースをほぼ全戦取材しています。
初めてサーキット観戦される初心者向けの情報コーナー「ビギナー観戦塾」も担当。

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