【SGT】2013第5戦ポッカサッポロ1000km:GT500クラス プレビュー

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 今週末は2013SUPER GT第5戦が三重県の鈴鹿サーキットで開催される。今年は名称が若干変更され「インターナショナルポッカサッポロ1000km」となり、シリーズで最も長い1000km勝負の決勝レースが繰り広げられる。

 毎年、数々のドラマが生まれる伝統の1000km戦。今年は一体どんなレース展開になるのか?特にGT500クラスは、レース終盤まで誰が勝つか分からない大バトルになりそうな予感だ。

【チャンピオン争いへの生き残りをかけた大一番!チャンスを掴むのは?】
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 この鈴鹿から後半戦に突入する2013年のSUPER GT。そろそろチャンピオン争いも本格化し始める頃だ。現在、RAYBRIG HSV-010(伊沢拓也/小暮卓史)が35ポイントで首位。それをDENSO KOBELCO SC430(脇阪寿一/石浦宏明)が34ポイントで追いかけ、カルソニックIMPUL GT-R(松田次生/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)、ARTA HSV-010(ラルフ・ファーマン/松浦孝亮)が追いかける展開。前回の第4戦SUGOでポイントランキング上位陣が揃って脱落したためトップ10台が15ポイント以内にひしめく接戦となっている。

 通常の約3倍にあたる1000kmで争われる第5戦鈴鹿は、シリーズ戦の中で唯一獲得ポイントが増えるレースとなっており、特に優勝ドライバーには5ポイント多い25ポイントが与えられる。実際に昨年もここ鈴鹿で25ポイントを獲得した柳田真孝/ロニー・クインタレッリ組のMOLA GT-Rが、そのボーナスポイントを上手く利用し最終戦を待たずに2年連続のチャンピオンを獲得した。

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[昨年のポッカ1000km表彰台のシーン]

 毎年、この鈴鹿での結果次第でシリーズチャンピオンを争うメンバーが絞り込まれるため、各陣営ともに何が何でも優勝を奪いたいところ。特にここまで勝てそうで勝てないレースが続いているチームにとっては、今週末が最後のチャンスと言っても過言ではないかもしれない。

【不運続きだが、速さと強さは証明済み!ウイダーモデューロHSV“3度目の正直”なるか?】
 その中でも一番勝利が欲しいのは、やはりウイダーモデューロHSV-010(山本尚貴/フレデリック・マコヴィッキィ)だろう。ホンダ期待の若手である山本がエースになり、ヨーロッパのGT選手権などで実績のあるマコヴィッキィもGT500参戦初年度ながら素晴らしいパフォーマンスを披露している。しかし、第3戦セパンでは予選8位から追い上げてトップを奪うもピット作業時にエンジンがかからないアクシデントが発生。前回SUGOではトップ浮上目前に39号車サードSC430と100号車レイブリックHSV-010と絡んでしまい無念のリタイアに終わってしまった。

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 ここまで不運続きのレースが続いているが、逆にそれが功を奏して鈴鹿ではランク首位のレイブリックHSVより40kgも軽い30kgのウェイトで臨むことができる。ここ鈴鹿は中高速コーナーが大半を占めており、ウェイトの影響が大きく出やすい。さらにホンダ勢では唯一夏の暑さに強いミシュランタイヤを装着している。

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 先日鈴鹿合同テスト、富士合同テストでも好タイムを記録しており準備は順調。鈴鹿サーキットを知り尽くす山本と耐久レースでの経験が豊富なマコヴィッキィのコンビが“3度目の正直”に挑む。

【ミシュラン×日産GT-Rの黄金コンビで夏の鈴鹿連覇に挑む】
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 ウイダーモデューロHSVと同じように鈴鹿で強さを発揮しそうなのが、REITO MOLA GT-R(本山哲/関口雄飛)だ。すっかりGT500でも名門チームとなったMOLAにとってここ鈴鹿は得意とするコース。昨年は優勝、一昨年も2位表彰台を獲得している7月の鈴鹿合同テストでもトップタイムをマークし、優勝候補の筆頭になってくることは確実。こちらも前回SUGOでポールポジションを獲得しながら決勝では不運なアクシデントで大きく後退し優勝を取り逃がした。今回は24kgと軽いウェイトで臨めるためここ鈴鹿で勝利してチャンピオン争いに加わりたいところ。それと同様にMOTUL NISMO GT-R(柳田真孝/ロニー・クインタレッリ)も合同テストで2位タイムを記録しており、こちらも今季初勝利を目指す。

【レクサス勢は伏兵多数。展開次第で十分にチャンスあり】
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 ここ鈴鹿では比較的勝利から遠ざかっているレクサス勢。それでも今年は勢いに乗っているチームばかりで上位に食い込んでくることは確実。その中でも一番の注目はやはりZENT CERUMO SC430(立川祐路/平手晃平)。陣営の中では最速を誇りながらも第3戦セパン、第4戦SUGOと連続で不運なアクシデントに見舞われノーポイント。こちらもチャンピオン争いを考えると後がない状況だ。ウェイトは46kgとやや重めだが、どんなにウェイトを積んでも速さを発揮するのため、今回も確実に優勝争いに顔を出してくるだろう。

 またランキング2位のDENSO KOBELCO SC430(脇阪寿一/石浦宏明)も昨年途中までトップ争いに加わっていただけに目が離せない存在。脇阪、石浦ともに鈴鹿での長距離戦を制した経験があるだけに、今回も高ポイントを獲得してランキング首位に躍り出たいところだ。

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 いずれにしても、1000kmという長距離戦でありながら、スプリント戦のようなハイレベルな争いが予想されるGT500クラス。過酷な173周を真っ先に走りぬいて、レース後の花火を表彰台の中央から笑顔で見ているのは、果たしてどのチームになるのか?シリーズチャンピオンの行方にも関わる重要な1戦が、いよいよ幕を開ける。

『記事:吉田 知弘』

吉田 知弘(Tomohiro Yoshita)

投稿者プロフィール

フリーのモータースポーツジャーナリスト。主にF1やSUPER GT、スーパーフォーミュラの記事執筆を行います。観戦塾での記事執筆は2010年から。翌年から各サーキットでレース取材を重ねています。今年はSUPER GTとスーパーフォーミュラをメインに国内主要レースをほぼ全戦取材しています。
初めてサーキット観戦される初心者向けの情報コーナー「ビギナー観戦塾」も担当。

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