【SF】2013最終戦鈴鹿:ダブルポールを決めた山本尚貴「無心になって走れた」

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©KANSENZYUKU

 2013年のスーパーフォーミュラ最終戦鈴鹿。9日(土)に行われた公式予選では、山本尚貴(TEAM無限)が見事ダブルポールを獲得。特に最終Q3は、鈴鹿サーキットにいるファンや関係者全員が、鳥肌が立つほどの見事なアタックを披露してくれた。

 今回はランキング首位のアンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM’S)と2位のロイック・デュバル(KYGNUS SUNOCO Team LeMans)が欠場という異例の状況下で最終戦。唯一逆転タイトルの可能性を残し、今シーズンは2人に続く速さを見せている山本に注目が集まった。逆転のためには何としてもポールポジションを獲得し今回は2レース分与えられるボーナスポイントを得る必要があった。

 まずQ1ではコースレコードを塗り替える走りでレース1のポールを獲得すると、集中力を切らすことなくQ3まで進出。今度はレース2のポールポジションをかけた最終Q3の7分勝負に臨んだ。スーパーフォーミュラの場合、セッション時間が限られているためグリーンシグナル後すぐにコースインするドライバーが多いが、逆にそれで発生するトラフィック(前後に他車がいって集中してタイムアタックできないこと)を嫌い、わざとギリギリまでコースインを粘る作戦を選択。Q3でも残り5分30秒でピットを後にするが、今回ばかりは作戦が裏目に出てしまった。

 タイムアタック中に直前を走っていた国本雄資(P.MU/CERUMO・INGING)がスピン。コース脇にマシンを止めてしまい赤旗中断。それまで区間ベストで周回していた山本のアタックはもちろん無効となり、無念のままピットへ。レギュレーション上、残り2分を切ったところで赤旗中断となった場合、救済措置として時間をいくらか戻してセッションが再開される。

©KANSENZYUKU

 幸いアタックするチャンスを得たのが、山本に与えられたのはわずか3分。これだと再び好タイムを出すために必要なウォームアップラップを行う時間がないのだ。ピットアウト周のみでタイヤを温めてのタイムアタック。さらに路面温度も開始時か下がり19℃。さらにコース半周とは言え1度タイムアタックで使用したタイヤでの再びトライしなければいけないという状況。確かに今回の山本とTEAM無限の16号車は絶好調だが、与えられた条件が厳しすぎる。多くの人が“ダブルポールは無理だろう”と半ば諦めていたが、逆転タイトルへ何が何でもポールがもう一つ必要な山本は全く諦めていなかった。

 不完全なウォームアップで、しかも1度タイムアタックを終えておりグリップ面でもタイムを出しやすいピーク部分が過ぎているはずのタイヤで全セクターをベストで周回。1分37秒774とコースレコードをさらに更新し、見事ダブルポールを勝ち取った。これには会場に詰めかけたファンだけでなく、多くのプレス関係者も驚いた様子だった。

©T.Yoshita/KANSENZYUKU ©T.Yoshita/KANSENZYUKU

 赤旗中断後に魅せた神がかり的なタイムアタック。山本は“無心”になって攻めたという。「無心になって走ることが出来ました。Q3の最初のラップでも細かいミスがあったのが気になっていて、それが赤旗中断になって、全て吹っ切る事が出来ました。もし失敗しても8位以上は確定しているからいいや!という考えで臨んだら今までにないくらい気持ちよく走れました。」

 パルクフェルメに戻ってきた山本。普通なら喜びを爆発させるシーンだが、小さくガッツポーズをしてマシンを降り、メカニックたちとがっちり握手をする表情にも笑顔はない。彼は冷静に“まだやらなければいけない事が残っている”ことを十分に理解していた。「ただ大切なのは明日の決勝なので、このまま集中力を維持してきっちり仕事をこなしたいです。」

 2レース制で行われる今日の決勝。どちらかで優勝し、もう一方が2位以内であれば逆転タイトルが決まる。今回はロッテラー、デュバルという強敵は欠場しているが、彼らが今シーズン作ったポイント差という“大きな壁”を決勝2レースで乗り越えなければいけないのに変わりはない。今シーズンの真価が問われる大一番が、いよいよ始まる。

『記事:吉田 知弘』

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吉田 知弘(Tomohiro Yoshita)

投稿者プロフィール

フリーのモータースポーツジャーナリスト。主にF1やSUPER GT、スーパーフォーミュラの記事執筆を行います。観戦塾での記事執筆は2010年から。翌年から各サーキットでレース取材を重ねています。今年はSUPER GTとスーパーフォーミュラをメインに国内主要レースをほぼ全戦取材しています。
初めてサーキット観戦される初心者向けの情報コーナー「ビギナー観戦塾」も担当。

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