【F1】2014オーストラリアGP〜Point of the Race〜:ロズベルグ、初タイトルへの大きな一歩

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 いよいよ開幕した2014年のF1世界選手権。16日に決勝が行われた開幕戦オーストラリアGPは、ニコ・ロズベルグ(メルセデスAMG)が優勝した。今年からターボエンジンに回生エネルギーシステムが導入。その他にも様々な点でレギュレーション変更が行われたF1。そのため、トラブルやアクシデントでリタイアが続出。例年と比べるとセーフティカー数も少なく、落ち着いた展開のように見えたが、完走台数14台(その後、失格車が出たため、記録上は13台となっている)と例年以上にサバイバルな開幕戦となった。

 そこで、圧倒的な強さをみせたロズベルグ。シーズン前の合同テストでの内容を踏まえれば、当然といえば当然の結果。しかし、この1勝は間違いなく2014シーズンのチャンピオン争いに大きく影響することになるだろう。

【予選から決勝まで完璧なレース展開。初の超独走優勝】
 エンジンをはじめ、これまでにないほどのレギュレーション変更により、昨年までとは全く別物のマシンとなった各チーム。シーズン前に公式合同テストが行われたものの、開幕までにマシンをベストの状態に持って来られているチームは、ごくわずか。金曜フリー走行からトラブルが頻発し全く走れないドライバーも少なくなかった。その中で、テストからほとんどトラブルがなく順調に周回を重ねてきたメルセデスAMG勢は絶好調。僚友のルイス・ハミルトンがポールポジションを奪い、ロズベルグも3番手と好位置をキープした。

 予選では僚友ルイス・ハミルトンと、地元オーストラリア出身のダニエル・リカルド(レッドブル・レーシング)に破れ3位となったロズベルグ。一番手強い相手であるチームメイトの先行を許してしまうが、新シーズン最初のスタートで抜群の反応をみせ、一気に逆転。トップで1コーナーを駆け抜ける。その後のレース展開は、まるで昨年のセバスチャン・ベッテル(レッドブル・レーシング)を見ているかのような独占劇を披露。8周目には2位リカルドに5票の差をつけ、追撃の隙を与えない。その後、破片回収のためセーフティカーが導入されるが、チーム全体で冷静に対応。瞬時の判断で1回目のピットストップを消化。トップをキープしたままレース再開を迎える。このセーフティカーでリカルドとの差は一気に縮まってしまうが、リスタート後から集中的にベストを連発。1周あたり1秒ずつリードを再構築し、25周目には10秒の差をつけてみせた。

 今年から回生エネルギーシステムが本格的導入されることもあり、レース中の燃料使用量が100kg未満に。昨年までの計算であれば明らかに足りないため、上手くペースコントロールをしていく必要、しかし彼は燃料のことなど気にしていないかのような快走劇でレース終盤まで走り続けた。結局、後続に24.5秒の大差をつけフィニッシュ。これまでに挙げた3勝とは異なり、後続のプレッシャーも気にすることなく、まさに“一人旅”でのトップチェッカーとなった。

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【昨年末から試行錯誤を繰り返し、チームとともに掴んだ独走劇】
 ウイニングランを終えパルクフェルメに戻ってきたロズベルグ。ヘルメットの脱がずに、真っ先にチームの元へ駆け寄り喜びを分かち合った。また表彰式でのシャンパンファイトでも、初表彰台に喜ぶケビン・マグヌッセン(マクラーレン)らとはことなり、真っ先にチームクルーへ“勝利の美酒”をかけに行っていたのも印象的だった。この開幕戦での完璧な走りと独走優勝は、メルセデスAMGチームが昨年求めていたものでもあるからだ。

 2013シーズンは、僚友ハミルトンとともに8回のポールポジションを獲得。特に前半戦だけでみるとレッドブル陣営を上回るポールポジション回数を誇った。しかし、いざレースになるとピレリタイヤを上手く使いこなすことができず、あっという間に優勝争いから脱落。結局チーム全体で3勝するに留まり、ドライバーズ・コンストラクターズともに大きな差を付けられてシーズンを終了する事になった。

 特に前半戦でまとまったポイントを獲得出来なかったメルセデスAMG。レギュレーションが大幅に変わる今シーズンは、開幕から好スタートが切れるようにと、新車開発には相当な努力が注がれたことは、想像に難くない。

 チーム全体の努力で生み出された新車F1 W05は合同テストで常に好タイムを記録。万全と言っても良い状態で開幕戦オーストラリアGPにやってきた。

 そして、テストでのパフォーマンスは、レース本番でも存分に発揮され見事ロズベルグが勝利。昨年、彼らが欲しかった開幕戦での25ポイントが手に入った瞬間だった。さらにライバルのレッドブル陣営は0ポイント。シーズンを通してみれば“たった25ポイント”かもしれないが、昨年からチームが大きく生まれ変わり、前進した25ポイントであったことは間違いないだろう。

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【初タイトル獲得への大きな一歩となった“25ポイント”】
 ロズベルグが素晴らしいレース運びをみせた一方で、彼のライバルたちはいきなり苦戦を強いられてしまった。ポールポジションスタートだったハミルトンはエンジントラブルにより早々にリタイア。また昨年のチャンピオンであるベッテルも、マシントラブルで脱落。レッドブルに移籍してから初の開幕戦リタイアとなってしまった。フェラーリ勢のフェルナンド・アロンソ、キミ・ライコネンらも後方から追い上げを図るが精彩を欠き、表彰台を逃してしまった。

 こうして強敵たちが、開幕戦からポイントを落としてしまった中での25ポイント獲得。この影響は数字以上に大きいものがあるだろう。「開幕戦を制したドライバーが、そのシーズンのチャンピオンになる」というジンクスがあるが、実際にシーズンが終わってポイント表を振り返ると、開幕戦でついた差がそのまま最終的なチャンピオンシップの差になっていることも少なくない。

 過去にレギュレーションが大きく変わった年の序盤戦をみると、1998年は本命視されていたミハエル・シューマッハ(当時フェラーリ)が5周でエンジンブローしリタイア。3位以下を全車周回遅れにしたミカ・ハッキネン(当時マクラーレン)が優勝。その年は最終戦までもつれたが初タイトルを獲得した。2009年の大幅変更時にも、当時ブラウンGP(現メルセデスAMG)のジェンソン・バトンが開幕戦で圧倒的な速さをみせ優勝。ベッテルなどライバル勢が苦戦している間に勝利を重ね、前半戦で大量リードを獲得。それが原動力となってチャンピオンを勝ち取った。

 同様に今回のロズベルグも、ライバルの多くが0ポイントで終わっている中での優勝。もちろん、全19戦で争われるうちのたった1レースではあるが、その効果は限りなく大きいはず。続く第2戦マレーシアGPをはじめ、序盤戦でどれだけポイントを稼げるかにもよるが、間違いなくチャンピオン獲得に向けての1歩目になったレースだった。

 そしてレース後の表彰式でも、昨年までとは異なり落ち着いた様子をみせていたのが印象的だった。何度も勝ち慣れているかのような堂々としており、その表情からは「今年はイケる」という自信に満ち溢れているようにも思えた。まだまだ2014年のタイトル争いはスタートが切られたばかりだが、今年は間違いなくロズベルグが、その一角に来ることは間違いなさそうだ。

『記事:吉田 知弘』

吉田 知弘(Tomohiro Yoshita)

投稿者プロフィール

フリーのモータースポーツジャーナリスト。主にF1やSUPER GT、スーパーフォーミュラの記事執筆を行います。観戦塾での記事執筆は2010年から。翌年から各サーキットでレース取材を重ねています。今年はSUPER GTとスーパーフォーミュラをメインに国内主要レースをほぼ全戦取材しています。
初めてサーキット観戦される初心者向けの情報コーナー「ビギナー観戦塾」も担当。

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