2014年のSUPER GT第1戦岡山の決勝。GT500クラスは開幕戦から大荒れの展開になった。午前中から雨が降ったかと思うと太陽が顔を出すという目まぐるしく変わる天候の中、晴天の中でグリッド進行が始まっていく。
今年から新規定で全車カーボンブレーキになったこともあり、安全を考慮し1周のウォームアップラップが追加で設けられた後、改めてセーフティカー先導でフォーメーションラップへ。いよいよ緊張のスタートが、と思われたが隊列が整わずもう1周追加。これにより1周減算の81周で改めてスタートが切られた。
心配された1コーナーでの混乱はなく、ポールポジションのNo.6 ENEOS SUSTINA RC Fを先頭に各車通過していくが、バックストレート奥のヘアピンを立ち上がったところでNo.23 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生)とNo.36 PETRONAS TOM’S RC F(ジェームス・ロシター)が接触。36号車がアウト側へ大きくコースオフし、23号車はコース上に停車し後方は大混乱となる。さらに2周目には2番手のカルソニックNo.12 IMPUL GT-R(JP・デ・オリベイラ)コースオフし後退。序盤から大荒れの展開となる。
ライバルたちが混乱に陥っている間にトップの6号車を駆る大嶋は、昨日の予選での好調さを維持し順調にペースアップ。2位のと3位のNo.46 S Road MOLA GT-R(本山哲)に3秒以上のリードを築いていく。6号車有利でレースが進んでいくが、今週末は天気が目まぐるしく変わる岡山。その10周を過ぎたあたりから雲行きが怪しくなり、ついに19周目に大粒の雨が降りだす。その後、一瞬だけあられまで降りはじめ、ピットは大混乱。これに2位の本山はレインタイヤを求めピットに入る。しかし、大荒れの天気は一瞬だけですぐにまた太陽が顔を出し、ハーフウエットから一気にドライに。46号車は再びピットインを余儀なくされ、順位を落としてしまう。
これでトップは6号車、2位にはNo.37 Keeper TOM’S RC F(アンドレア・カルダレッリ)が浮上。序盤から丁寧にタイヤを労ってきた37号車カルダレッリが大嶋に接近。GT300クラスの処理の関係で、一時は0.5秒差まで迫るが抜くまでには至らなかった。
トップ争いがレクサス勢で白熱している中、予選11位と後方に沈んでしまった昨年チャンピオンのNo.1 ZENT CERUMO RC F(平手晃平)は、No.8 ARTA NSX CONCEPT-GT(松浦孝亮)をアウトから抜きにかかろうとして33周目の1コーナーで接触。外側のグラベルに止まってしまい、大きく後退を余儀なくされる。
レースも半分を過ぎようという35周目。先に37号車が仕掛け、ドライバー交替のピットインを行う。後半の伊藤大輔がペースを上げて6号車を逆転しようと試みるが、それを知っている大嶋もラストスパートをかけ36周目にピットイン。国本雄資にバトンを渡し、結果的に37号車に大きなアドバンテージをつけた状態でピットアウト。戦略面では6号車ルマンに軍配が上がった。
昨年の最終戦もてぎとJAFGP富士スプリントカップのレース2を制している6号車。新しくなったRC Fでも初戦を制したいところだったが、2年ぶりの優勝を狙う伊藤も肉薄。レース後半は常に1〜2秒程度の差を推移。片方がベストタイムを出すともう片方が翌周でタイムを更新するなど、緊迫した争いに訪れた観客もかたづを飲んで見守った。
ところが55周目に事態が一変する。アドウッドコーナー終わりで6号車のギアがスタック。スローダウンを余儀なくされ、その横を伊藤がすり抜けていく。一時はピットインしてリタイアかと思われたが、翌周からはペースが戻り再び追い上げる。しかし、伊藤も1分24〜25秒台をコンスタントに記録し、ベテランらしい走りでトップを死守。終盤には再び黒い雲がサーキットを覆い始めたが、最後は雨が降ることなくチェッカー。伊藤は2012年第4戦SUGO以来、カルダレッリにとってはGT500参戦3年目にして嬉しい初優勝を勝ち取った。2位には最後まで粘った6号車が入り、新GT500クラス車両による初戦はレクサスRC Fのワン・ツーフィニッシュとなった。
3位にはオリベイラ/安田裕信組の12号車インパル。開幕前から好調だったGT-R勢で最上位を勝ち取った。ホンダ勢は他メーカーに順位上は負けてしまった、要所要所で光る走りを見せたNo.18 ウイダーモデューロNSX CONCEPT-GT(山本尚貴/ジャン‐カール・ベルネ)が5位。No.17 KEIHIN NSX CONCEPT-GT(塚越広大/金石年弘)が6位と、今後に向けて期待を持たせてくれるレース内容をみせた。
『記事:吉田 知弘』
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