【F1】2014第6戦モナコGP:レースレポート

©Pirelli
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 2014年のF1世界選手権第6戦。今年も伝統のモナコGP決勝レースが現地時間の25日、モンテカルロ市街地コースで行われた。前日の予選とは異なり、あいにくの曇り空となってしまったが、1年に1度の優雅なひと時を過ごそうと世界中のセレブたちがパドックに集結。また各コーナーのスタンドも多くのF1ファンで埋め尽くされた。

 ポールポジションはニコ・ロズベルグ。フロントローにはルイス・ハミルトンと今回もメルセデスAMGが予選から速さをみせた。スタートでは抜群の反応をみせたロズベルグが先頭で1コーナーへハミルトンも無難に順位を守っていく。後方3番手からスタートだったダニエル・リカルド(レッドブル・レーシング)はダッシュが効かず、同僚のセバスチャン・ベッテルに加えキミ・ライコネン(フェラーリ)に先行を許す。

 直後のミラボーでセルジオ・ペレス(フォース・インディア)とジェンソン・バトン(マクラーレン)が接触。スピンしたペレスのマシンがコース上を塞ぐ形になったためセーフティーカーが導入される。4周目から再スタートが切られるが、3位にジャンプアップしていたベッテルが突然ピットイン。ERS関係のトラブルが発生し、一度はピットアウトしレース続行を試みたが結局リタイアに終わった。

 今回もスタートから主導権を握ったメルセデスAMG勢。後続をあっという間に置き去りにする勢いで独走。ロズベルグがファステストラップを記録すると、ハミルトンが翌周にそれを塗り替え、互いにプレッシャーを掛け合う緊迫したバトルを展開。そのため両者の差は1.1〜1.5秒程度を推移。見た目での白熱した追い抜きシーンはなかったが、お互いにガードレールまで数mmという極限のところまでを攻めぎあうハイレベルなトップ争いとなった。

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 そんな中、レースが動いたのは26周目。15位まで順位をあげていたエイドリアン・スーティル(ザウバー)がトンネル明けの下り坂でバランスを乱しクラッシュ。この日2度目のセーフティーカーが導入される。ちょうどタイヤ交換のタイミングを伺っていた上位陣は一斉にピットイン。スーパーソフト(赤)からソフト(黄)に交換。31周目に再スタートが切られた。

 後半スティントも、ロズベルグとハミルトンによる0.1秒を削り合うバトルが続いていく。コース幅が狭く追い抜くポイントがないに等しいモンテカルロ市街地コース。後ろを走るハミルトンは休まずプレッシャーを与え続け、ロズベルグがミスしたところを突こうとするが、昨年も強豪レッドブル勢との死闘を制している実績があるだけに簡単にチャンスは生まれない。

 こう着状態が続く中、レース終盤の60周を過ぎたあたりから、3位を取り返したリカルドがペースアップ。ファステストラップを連発する勢いで一時は15秒近く離れたシルバーアロー2台との差を詰めていく。ちょうど同じタイミングでトップ争いにも異変が発生。2位を走るハミルトンがタイヤが厳しくなってきたのかペースダウン。前を伺う走りから、一気に後方を気にしながらの展開に変わってしまう。そして残り10周を切ったところでリカルドに追いつかれ、かつてのセナvsマンセル(1992年)を彷彿とさせるような超接近戦が展開された。ペース的にはリカルドが圧倒的に有利だったが狭いコースを巧みに利用し、ハミルトンが必死にブロック。順位が変わらないまま最終ラップに突入する。

 最大のライバルが終盤に失速したことにより一気に楽になったロズベルグ。昨年のモナコGP同様にポールポジションから78周全てでトップを死守。2年連続で伝統の一戦を制した。2位には最後まで逃げ切ったハミルトン、逆転に一歩及ばなかったリカルドが3位に入った。

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 モナコ公国のロイヤルファミリーが出迎える表彰台に満面の笑みで登場したロズベルグ。父ケケ・ロズベルグ氏も達成できなかったモナコ2勝目、そして2年連続で全ラップをトップで駆け抜けるという快挙に、少し自信を取り戻した様子が伺えた。今季は開幕戦で勝利するも、第2戦以降は僚友ハミルトンに全て惜敗するレースが続いていた。今回の優勝で再びドライバーズランキングも逆転し首位の座を取り戻している。これからも2人のライバル対決から目が離せない。

『記事:吉田 知弘』

吉田 知弘(Tomohiro Yoshita)

投稿者プロフィール

フリーのモータースポーツジャーナリスト。主にF1やSUPER GT、スーパーフォーミュラの記事執筆を行います。観戦塾での記事執筆は2010年から。翌年から各サーキットでレース取材を重ねています。今年はSUPER GTとスーパーフォーミュラをメインに国内主要レースをほぼ全戦取材しています。
初めてサーキット観戦される初心者向けの情報コーナー「ビギナー観戦塾」も担当。

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