【F1】2014第7戦カナダGP:レースレポート

©Pirelli
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 2014年のF1第7戦カナダGP。注目の決勝レースが現地時間の8日(日)。カナダ・モントリオールにあるジル・ビルヌーブ・サーキットで行われた。

 前日の予選でポールポジションを奪ったのは2戦連続でニコ・ロズベルグ(メルセデスAMG)、僚友のルイス・ハミルトンが横に並ぶ展開となった。スタートでは早速ライバルの前に出ようと両者1歩も譲らず1コーナーへ。ここでラインの優先権を持っていたロズベルグがトップを死守。その隙をついて3番手スタートだったセバスチャン・ベッテル(レッドブル・レーシング)が飛び込み2位をもぎ取った。その直後、後方ではマルシャの2台が接触。ともにリタイアとなってしまう。このアクシデントで散らばった破片を回収するため早速セーフティーカーが導入。8周目からレースが再開された。

 最大のライバルが3位に落ちたこともあり、序盤から逃げて行きたかったロズベルグだが、2位ベッテルも進化したマシンで必死に食らいついていく。しかし、10周目にハミルトンにパスされ3位後退。今回もメルセデスAMG同士によるトップ争いの展開となっていった。

 その後は、両者ベストラップを更新しあう走りをみせ、一進一退のバトルを展開。結局1.7秒ほどのリードを持った状態で18周目にロズベルグが先にピットイン。その翌周にハミルトンも1回目のタイヤ交換を済ませた。

 レース中盤に差し掛かった24周目、後方で奮闘していた小林可夢偉(ケータハム)の左リアサスペンションにトラブルが発生。タイヤが向きに曲がってしまうトラブルに見舞われ戦線を離脱してしまう。これで7戦連続ノーポイントと、今回も厳しい結果に終わってしまった。

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 中盤の第2スティントは、両者ともに一歩も引かない展開。ハミルトンは、DRS稼働圏内である1秒後方まで迫るものの、ロズベルグの巧みなブロックで前に出ることはできない。結局、このスティントでは順位の入れ替わりはなく最終スティントも緊迫したマッチレースが続くのかと思われたが、思わぬ事態が2人を襲う。

 これまで1分19秒台で激しい攻防戦を繰り広げていた2人が急激にペースダウン。両者ともにパワーダウンの症状に見舞われ、一気に1分22秒台までラップタイムを落とす。その後44周目にロズベルグ、45周目にハミルトンと2回目の作業完了。ここでやっとロズベルグを逆転するが、直後のヘアピンでミスし再逆転を許してしまう。その後も猛追を試みたが、47周目にブレーキトラブルが発生しストップ。今季2度目のリタイアを余儀なくされた。

 最大のライバルが消えたことで楽になったかと思われたが、パワーダウンの症状は深刻化し、残り20周というところでセルジオ・ペレス(フォース・インディア)、ダニエル・リカルド(レッドブル・レーシング)、ベッテル、さらにフェリペ・マッサ(ウイリアムズ)も追いつき、5台による超接近戦バトルに。ここで光る走りを見せたのが、今年からトップチームに加わったリカルドだった。

 残り5周でペレスをかわし2位に浮上すると、すかさずスピードの乗らないロズベルグに仕掛けていく。そして残り3周のヘアピン立ち上がりで真後ろにつくとDRS効果をフル活用しオーバーテイク。見事、絶好調のシルバーアローからトップを奪った。その後も、上位争いは激化。今度は3位ペレスに4位ベッテルが襲いかかり、残り2周の最終シケインでパス。そこに生まれた隙をついた5位マッサだったが、最終ラップに入った1コーナー手前でわずかにペレスが進路変更した瞬間に接触。2台はほぼ減速しないままタイヤバリアに激突。ファイナルラップだったがセーフティーカーが導入。そのままチェッカーフラッグを迎えレースは終了した。非常に大きなインパクトのクラッシュだったが、幸い2人とも怪我はなかった。

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 セーフティーカー先導のまま、一番最初にフィニッシュラインを通過したのがリカルド。F1参戦57戦目での嬉しい初優勝となった。2位にはロズベルグ、3位にはベッテルが入り、表彰式では優勝経験者である先輩たちからシャンパンで手洗い祝福をうけるも、終始笑顔が絶えない彼の姿が印象的だった。

『記事:吉田 知弘』

吉田 知弘(Tomohiro Yoshita)

投稿者プロフィール

フリーのモータースポーツジャーナリスト。主にF1やSUPER GT、スーパーフォーミュラの記事執筆を行います。観戦塾での記事執筆は2010年から。翌年から各サーキットでレース取材を重ねています。今年はSUPER GTとスーパーフォーミュラをメインに国内主要レースをほぼ全戦取材しています。
初めてサーキット観戦される初心者向けの情報コーナー「ビギナー観戦塾」も担当。

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