【2014鈴鹿8耐】エヴァ初号機RTシナジーフォースTRICKSTAR、粘り強く走り切り24位完走

©KANSENZYUKU

2014年の鈴鹿8耐。今年も注目を集めていたエヴァンゲリオン初号機RTシナジーフォースTRICKSTARは、度重なる不運や終盤の転倒にも諦めることなく、24位で完走を果たした。

また、大波乱となった決勝レースについては、鶴田竜二監督が自身のFacebookページで詳細を振り返ってくれた。

©T.Yoshita/KANSENZYUKU

ゲリラ豪雨の影響でスタートが順延され、12時35分にスタート。レース時間も6時間55分に短縮された。予選では惜しくもTOP10トライアルを逃し16番手からスタート。レースを通してスターターに問題があったようで、出だしでエンジンに火が入らず後退。その後、目まぐるしく変わる天候の中で出口修、井筒仁康、グレゴリー・ルブランの3人が粘り強く追い上げ、6位に浮上。しかし、度重なる天候変化やコース上でのアクシデントでセーフティカーが再三導入。ちょうど給油のためのピットインスケジュールとのタイミングが噛み合わず、予想外の苦戦を強いられてしまう。

また燃費走行を敢行し、ピット回数を減らして上位を追いかける作戦に変更するが、中盤にピットロードでストップしてしまうトラブルが発生。スタート時同様にエンジンがかからない症状だった。メカニックの懸命な押しがけで何とか火が入りコースに戻るが、後半も小さな不運が度重なり、厳しいレース展開を強いられていく。

それでも19時30分のチェッカーに向けて粘り強く周回。3度目のセーフティカーが入った残り1時間でピットインし、ルブランに後退。残り40分に再スタートが切られるが、直後に最大の不運がチームを襲った。

161周目、他車が撒いたオイルにのってしまいS字で転倒。幸いルブランに大きな怪我なかったが、バイクは大きく傷つき、しかもS字の深いサンドトラップに埋もれてしまった。マーシャルの協力を得て、安全なエリアまでバイクを移動することに成功するが、今度はエンジンがかからない。スタート時から続いていた問題が、ここでも再発してしまったのだ。

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鶴田監督は「ここでエンジンが掛かるかが問題だった。“とにかく戻ってこい!戻ってくれば俺たちが何とかしやる!最後まで諦めずゴールを目指す!“という気持ちでピットスタッフ全員で待ち構えていました」と当時の心境を綴っている。

数年前にも3位争いをしていた残り5分でエンジンブロー。“活動限界”を迎えてしまったエヴァ初号機のバイク。

「今年もダメなのか……」

誰もがそう思い始めた瞬間、01番のカワサキZX-10Rのヘッドライドが転倒。ゆるゆるとS字の上り坂を進み始める。ルブランが諦めずに何度も再始動を試み、ついにエンジンに火が入ったのだ

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残り30分、傷だらけの状態でピットロードに戻ってくると、グランドスタンドからは「おかえりー!」と言わんばかりの大歓声が沸き起こる。今年もホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキと各メーカーの応援団席があったが、その瞬間だけはメーカーの垣根なく、全員が傷だらけになりながらも「チームの皆と一緒に必ずチェッカーを受ける」という想いを胸に帰還したルブランのエヴァ初号機RTのバイクに精一杯の声援を送っていた。

そしてピットに戻ってくると、メカニックたちは急いで修復作業を開始。チェッカー10分前にマシンが蘇り、再びルブランがコースへ復帰。この時もスタンドからは大歓声が沸き起こった。

結局、上位争いから一転。24位でのチェッカー。今年も念願の表彰台フィニッシュとはならなかった。それでも、何度となく不運に襲われても19時30分のチェッカーだけは必ず受ける。最後まで諦めないというレースを披露してくれたエヴァ初号機RTシナジーフォースTRICKSTAR。今年の鈴鹿8耐で、来場したファンの記憶に残るレースを魅せてくれた。

『記事:吉田 知弘』

吉田 知弘(Tomohiro Yoshita)

投稿者プロフィール

フリーのモータースポーツジャーナリスト。主にF1やSUPER GT、スーパーフォーミュラの記事執筆を行います。観戦塾での記事執筆は2010年から。翌年から各サーキットでレース取材を重ねています。今年はSUPER GTとスーパーフォーミュラをメインに国内主要レースをほぼ全戦取材しています。
初めてサーキット観戦される初心者向けの情報コーナー「ビギナー観戦塾」も担当。

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