【F1】2014第11戦ハンガリーGP:レースレポート

©Pirelli
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 2014年のF1世界選手権は、早くも夏休み前最後の1戦を迎えた。今年も前半戦最後のラウンドとなったのはハンガリーGP。首都ブダペスト近郊にあるハンガロリンクが舞台となる。

 例年、真夏の日差しの中、ドライコンディションで開催されることが多いが、今年は直前にまとまった雨が降りウエットコンディションでスタートを切ることになった。

 ポールポジションはニコ・ロズベルグ(メルセデスAMG)。今回も難なくスタートを決め、トップで1コーナーを通過。3番手スタートのバルテリ・ボッタス(ウイリアムズ)がセバスチャン・ベッテル(レッドブル・レーシング)を抜き、2位に浮上する。現在ランキング首位を独走するロズベルグ。ここでも序盤から後続を一気に引き離し、逃げ切る体制に持ち込もうとするが、予想外の展開が待ち構えていた。

 9周目にマーカス・エリクソン(ケータハム)がクラッシュ。本人に大きな怪我はなかったが、事態収拾のためセーフティカーが導入される。このタイミングで各車が一斉にピットイン。スタート直後から雨も上がり、路面コンディションもかなり回復してきていたの見てドライタイヤに交換する作戦に出た。しかし、ロズベルグ、ボッタス、ベッテル、フェルナンド・アロンソ(フェラーリ)のトップ4台はステイアウト。後続より1周遅い10周目にピットへ戻ってきた。この判断の差で上位陣の順位は一変することになり、トップはダニエル・リカルド(レッドブル・レーシング)に。

 11周目にセーフティカーが解除されるが、今度はロマン・グロージャン(ロータス)がクラッシュ。再びセーフティカーが入り、結局13周目からレースが再開された。

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 ここからはドライコンディションでのレースになっていく。トップを走るリカルドは23周目に2回目のタイヤ交換を敢行。今回はインターミディエイト(少雨用)タイヤでスタートしているため、2種類のドライタイヤ使用義務は適用されず、新しいソフトタイヤでコースへ復帰する。ところが、後方で追い上げ、2・3位を走行していたアロンソとルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)は粘り強く周回を重ねていく。リカルドよりタイヤ交換を1回少なくして、そこでのロスタイムを減らす作戦に出たのだ。

 これによりアロンソは38周目、ハミルトンも翌39周目にタイヤ交換。これで約30周先のゴールを目指した。両者のタイヤ交換により再びリカルドがトップに浮上するが戦略的にもう1回のタイヤ交換が必要。54周目に3回目のピットイン。アロンソがまたしてもトップの座に返り咲く。

 残り15周、3位に落ちてしまったリカルドだが、新品タイヤでトップ2人から比べるとペースが圧倒的に良い。あっという間に追い付き、攻略にかかる。そして、残り10周を切ったところで3人が1秒以内にひしめく大接戦への終盤戦に突入していく。

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 消耗したタイヤでなんとか順位を死守していたアロンソとハミルトンだったが、勢いに乗る若いオーストラリア人ドライバーを止めることができず、ついに残り3周でリカルドがトップに浮上。見事な大逆転劇で今季2勝目を飾った。2位にはアロンソ、3位にハミルトンが入り、絶好調のロズベルグは4位。彼が表彰台に立てないのは、今年2回目だ。

 また日本期待の小林可夢偉(ケータハム)は燃料システムのトラブルで18周目にリタイアとなった。

『記事:吉田 知弘』

吉田 知弘(Tomohiro Yoshita)

投稿者プロフィール

フリーのモータースポーツジャーナリスト。主にF1やSUPER GT、スーパーフォーミュラの記事執筆を行います。観戦塾での記事執筆は2010年から。翌年から各サーキットでレース取材を重ねています。今年はSUPER GTとスーパーフォーミュラをメインに国内主要レースをほぼ全戦取材しています。
初めてサーキット観戦される初心者向けの情報コーナー「ビギナー観戦塾」も担当。

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