【SF】2014最終戦鈴鹿:プレビュー「今シーズン最大の激戦がいよいよ開幕」

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 4月に開幕した2014全日本選手権スーパーフォーミュラ。今年は車両が一新され、F1よりも速いコーナリングスピードやハイレベルなバトルで注目を集めてきた。そんな2014シーズンも今週末の8・9日に最終戦を迎え、年間チャンピオンが決まる。

 今年は「JAFグランプリ」のタイトルで争われる国内トップフォーミュラの最終戦。これまで中嶋悟、星野一義、鈴木亜久里、長谷見昌弘といったレジェンドドライバーたちが激しいバトルを繰り広げてきた鈴鹿サーキットで、また新しい「JAF鈴鹿グランプリ」の歴史が刻まれようとしている。

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【7人によるチャンピオン争い…最後に笑うのは誰か?】
 新型マシンが投入され、ハイレベルなバトルが繰り広げられている2014年のスーパーフォーミュラ。昨年とは打ってかわりは7人のドライバーがチャンピオンの可能性を残して最終戦を迎える。

1位:中嶋一貴(33pts)
2位:JP・デ・オリベイラ(29pts)
3位:アンドレ・ロッテラー(26.5pts)
4位:ロイック・デュバル(26.5pts)
5位:石浦宏明(23pts)
6位:ジェームス・ロシター(20.5pts)
7位:国本雄資(17pts)

 このうち、5位の石浦までが10ポイント以内で自力で逆転チャンピオンが可能。今回は2レース制ということでポイントを通常より多く獲得することができる。それだけに、1ポイントをかけた攻防戦が各所で展開される週末になりそうだ。

【ランキング首位の一貴“パフォーマンス面でのアドバンテージはない”】
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 第6戦SUGOを終えてランキング首位にたったのは中嶋一貴(No.37 PETRONAS TEAM TOM’S)。しかし、そのレース後の記者会見でチャンピオン争いに向けて記者団から質問を受けると「たしかにポイント面では有利だけど、パフォーマンス面でのアドバンテージはない」と答えた。今シーズンは第3戦で勝利を挙げ、その他のレースでもコンスタントにポイントを重ねてきたが、本人は満足のいく内容になったレースはほとんどなかったとのこと。

 実はライバルとのポイント差をみても、アドバンテージが大きいわけではない。もし8日(土)の予選でランク2位のオリベイラにWポールポジションを獲得されれば決勝レース前に2ポイント詰められてしまう。さらにRACE1で優勝されれば、一気に逆転を許すことになる。4.5ポイント差につけているロッテラー、デュバルも絡んでくれば、条件が厳しくなっていくことが十分に考えられる。

一昨年、同じようにランキング首位で迎えた最終戦鈴鹿でも予選から思わぬ不振で中団に埋もれてしまい、RACE1終了時点で完全に流れを失っていた。その時はRACE2で巧みなピット戦略を駆使して大逆転優勝を飾ったが、今回も最後に上手く行くとは限らない。

 それだけに一貴も予選からポールポジションを積極的に狙い、相手にポイントを与えない走りを自らが行なっていく必要がある。彼にとってもランキング首位だから“守る”のではなく、ライバルから逃げ切るために“攻める”走りが必要となるのだ。

 昨年までは鈴鹿でのレースに対して好印象を持っていなかったが、SF14に車両が変わったことで風向きが変わり始めていると語っていた一貴。土曜日の予選から主導権を握ることができるか?そこが勝負の鍵になりそうだ。

【自力での逆転チャンピオンも可能なロッテラー、オリベイラ、デュバル“とにかく攻めるだけ”】
 トップの一貴に対抗する最大のライバルとなりうるのが、2位オリベイラ、3位ロッテラー、4位デュバルのチャンピオン経験者だろう。今シーズン全員が1勝以上挙げているが、全戦でポイントを拾い集めてきた一貴とは異なり、不運なリタイアや諸事情による欠場でポイントを獲得できなかった。その僅かな差が、現在のポイント差となって現れている。

 しかし、オリベイラは4ポイント、ロッテラーとデュバルは6.5ポイント差と、自力での逆転チャンピオンは十分に可能。3人は口をそろえて「戦略なんかない。とにかく全力で攻めきるだけ」とコメントしており、予選からボーナスの1ポイントをかけて激しいタイムアタック合戦が繰り広げられそうだ。

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 特に今季2度のポール・トゥ・ウィンを飾っているオリベイラは予選から勢いをつけ決勝でも逃げ切ってしまうという展開に持ち込んでいくことが多い。また2010年の最終戦でもRACE2で見事なレース運びをみせチャンピオンを勝ち取っている。今週末はその時の再現となるか、注目だ。

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 またロッテラーとデュバルは、昨年WEC参戦に伴い最終戦を欠場しチャンピオン獲得を逃している。現在も世界選手権の舞台で活躍する2人が、チャンピオンをかけてどのような走りを見せてくれるのか?ここにも期待が集まる。

 一貴を含め4人ともチャンピオン経験者で、2度目の王座をかけて争うことになる。果たして最後に笑うのは誰なのか?非常に楽しみレースウィークになること間違いなしだ。

【わずかなチャンスにかける石浦、ロシター、国本…予選ポールポジションが必須】
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 チャンピオンの可能性を残しているのは上記の4人だけではない。5位の石浦宏明(No.38 P.MU/CERUMO・INGING)は、首位一貴とは10ポイント差。予選でWポール、決勝両レースとも優勝できれば、ライバルの結果に関わらず自力で逆転チャンピオンを獲得できる。6位ジェームス・ロシター(No.3 KONDO RACING)、7位国本雄資(No.39 P.MU/CERUMO・INGING)は上位陣がレースで下位に沈まない限りチャンスが出てこないが、可能性もゼロではない。

 それらを実現するために何より必要なのがポールポジションのボーナスポイント。まずは土曜の予選で獲得できる2ポイントを掴むことが出来るか?これで日曜の決勝レースでの逆転条件が大きく変わってくる。3人とも今季ポールポジション獲得はないが、各レースでQ3に進出するなど、十分にチャンスはあると言って良い。チャンピオン経験者4人に彼らがどう立ち向かっていくのか?ここも見逃せないポイントの一つだ。

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 今年はチャンピオン争いだけでも見どころが尽きない最終戦。是非、現地鈴鹿サーキットに足を運んでいただき、その興奮と感動を肌で感じてみてはいかがだろうか。

スーパーフォーミュラ最終戦「JAF鈴鹿GP」チケット情報
観戦券(大人)4,000円
パドックパス(大人)6,200円※別途観戦券が必要
全国のコンビニ・プレイガイドで販売中
購入方法等の詳細はこちら

『記事:吉田 知弘』

吉田 知弘(Tomohiro Yoshita)

投稿者プロフィール

フリーのモータースポーツジャーナリスト。主にF1やSUPER GT、スーパーフォーミュラの記事執筆を行います。観戦塾での記事執筆は2010年から。翌年から各サーキットでレース取材を重ねています。今年はSUPER GTとスーパーフォーミュラをメインに国内主要レースをほぼ全戦取材しています。
初めてサーキット観戦される初心者向けの情報コーナー「ビギナー観戦塾」も担当。

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