【WEC】トヨタ、悲願のマニュファクチャラーズ・タイトルを獲得!

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WEC最終戦サンパウロ6時間レースを2位と4位で終えたトヨタ・レーシングは、FIA世界耐久選手権の年間マニュファクチャラーズ・タイトルを獲得しました。

トヨタ自動車は、1999年に世界ラリー選手権(WRC)でマニュファクチャラーズ・タイトルを獲得して以来、15年目にして再び世界選手権を制覇しました。

今日の結果は、スポーツカー・レースの歴史に新しい1ページを開いたと言えるでしょう。1953年に世界耐久選手権レースが始まって以来、初めて日本の自動車メーカーが年間タイトルを獲得したのです。また、この勝利は、トヨタが開発したトヨタ・ハイブリッド・システム・レーシング(THS-R)にとっても、重要な足跡を残しました。

モータースポーツにおいてハイブリッド・システムを採用する計画は2006年に始まり、2007年7月、北海道十勝スピードウェイで開催された十勝24時間レースでハイブリッド・システムを搭載したトヨタ・スープラが初優勝を飾りました。この時にバッテリーに代わって採用された蓄電装置がスーパーキャパシタです。以来、ハイブリッド・システムは地道な開発が続けられ、大幅な重量軽減がなされ、出力も自然吸気エンジンとモーターの組み合わせから1000馬力を発揮するまでに至りました。この進化したTHS-Rを搭載した2014年のTS040 HYBRIDは、4輪駆動にもかかわらず2013年モデルと比べて25%もの燃費削減を可能にしています。

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燃費効率重視に振られた2014年の新しいWEC・LMP1技術規則に従い、トヨタ・レーシングは全8レース中5勝を挙げ、ポールポジションは4回獲得、表彰台にも全戦立つことが出来ました。加えて最速ラップを4回樹立。これは、トヨタの技術の優秀性が証明されたと言えるでしょう。

とはいえ、これらの結果を出すことは並大抵のことではありませんでした。アウディ、ポルシェと接戦を繰り広げ、激しい戦いを勝ち抜くことが出来たことを、誇りに思います。

また、今日は、耐久レースに一時代を築いたトム・クリステンセン選手(アウディ)のラストレースとなりました。彼の偉業は実に素晴らしく、トヨタ・レーシングの誰もがレース引退後のさらなる活躍を期待しています。

そして、トヨタ・レーシングは、世界チャンピオン獲得に向け、共に戦ってくれた全てのパートナーに感謝したいと思います。DENSO(インバーターとリアハイブリッドモーターの共同開発)、TOTALルブリカンツ、アイシンAW(フロントハイブリッドモーターの共同開発)、日清紡ホールディングス(スーパーキャパシタの共同開発)、ZF(クラッチ)、TAKATA(安全装備)、ZENTを始め、すべてのオフィシャルパートナーの皆様、有難うございました。

豊田章男 トヨタ自動車(株) 代表取締役社長:
トヨタのハイブリッド技術を結集し、WECへの挑戦を始めて3年目の今年、トヨタ・レーシングが、TS040 HYBRIDでドライバーズ、及びマニュファクチャラーズチャンピオンを獲得出来たことを大変嬉しく思います。これまでご声援いただいたファンの皆様や、ご支援いただいたオフィシャルパートナーの皆様に感謝申し上げますと共に、シーズンを通じ、心をひとつに、全力で挑んだドライバーやチームスタッフほか関係者全員に「おめでとう、そしてありがとう」の言葉を贈りたいと思います。これから先もトヨタは、WECシリーズへの挑戦を通じ、ハイブリッドのさらなる技術革新を進めると共に、「もっといいクルマづくり」に活かしていきたいと思います。今後も引き続き、ご声援いただければ幸いに存じます。

木下美明 チーム代表:
今日のレースは私がこれまで経験した最も感慨深いレースのひとつでした。このサーキットの標高の高さによる出力低下を考えれば、結果にはとても満足しています。幸いなことに、我々のハイブリッド・システムは高地でも力を発揮し、特に車両の追い越し時には、非常にパワフルでした。チームの誰もが最後のコンマ1秒まで、ギリギリの戦いをしてくれました。世界選手権で両タイトルを獲得することは、今年の最大の目標の一つでした。我々をサポートしてくださったすべての皆さんと、この素晴らしい成果を達成するため共に頑張ってくれたチームスタッフに感謝します。 我々のチームとドライバーの戦いぶりは、今シーズン、実に素晴らしいものでした。各々が自分の役割をしっかりと果たしてくれました。ここサンパウロに、我々の仲間である中嶋一貴とニコラス・ラピエールが一緒にいないのがとても残念です。我々は耐久レースにおいて輝かしい歴史を持つ手強いライバルと戦って来ました。このことが我々の成果をより素晴らしいものにしてくれています。今、この瞬間を喜んでいますが、すぐに2015年シーズンもタイトルを守り続けるための準備に取りかからなければなりません。

TS040 HYBRID 7号車:
(アレックス・ブルツ/ステファン・サラザン/マイク・コンウェイ)
決勝結果: 4位 248周、ピットストップ7回、最高ラップタイム:1分18秒778

アレックス・ブルツ:
チームにとって、マニュファクチャラーズ・タイトルの獲得は本当に素晴らしい結果です。今日のレースは非常に楽しめました。TS040 HYBRIDは好調で、特に私の2度目のスティントでは、ドライブスルーペナルティを受けたことを除けば最高でした。ペナルティは、レースでは仕方ないことで、レーススチュワードの裁定を受け入れます。しかし、このことでドライバーズ選手権での3位獲得が出来なかったのは残念でした。いくつかのレースで我々は速さを示せましたが、今年は運が無かったということです。

ステファン・サラザン:
トヨタにとっても、私自身にとっても非常に良いシーズンでした。我々がマニュファクチャラーズチャンピオンを獲得出来たということは大変なことです。チームは今年だけでなく、プロジェクトの当初からハードワークを続けて来ましたが、素晴らしい結果で報われました。TS040 HYBRIDは全てのレースで力強く、チームも素晴らしい働きで支えてくれました。厳しいペナルティを受けてしまったことで、レースでのポジションと、選手権でのポジションの両方を失うこととなってしまったのは本当に残念です。

マイク・コンウェイ:
レースはトヨタ、ポルシェ、アウディによる三つ巴の激しいバトルで、大変な接近戦でした。何度か戦略の変化もありましたが、我々は表彰台を目指していました。私もずっとフルアタックを続けました。最後に再スタートが切られれば2台共にポジションアップが狙えたはずなので、その点は残念です。しかし、今日はトヨタにとって、ワールドチャンピオン獲得という素晴らしい一日になりました。この週末の締め括りに、全ての人から祝福を受けました。このチームの一員であることは大変な栄誉です。

TS040 HYBRID 8号車:
(アンソニー・デビッドソン/セバスチャン・ブエミ)
決勝レース: 2位 249周、ピットストップ6回、最高ラップタイム:1分18秒399

アンソニー・デビッドソン:
今日のレースは少しフラストレーションの溜まる終わり方となってしまいました。チャンピオン・タイトルはもう少しスッキリと獲得したかったというのが本音です。しかし、最後まで勝負をするということは、とても楽しい展開でした。レース前には、まさか勝利に絡めるとは思っていなかったので、それが出来たのはボーナスでした。とにかくチャンピオンとして最後まで諦めない姿勢を見せることが出来ました。ポルシェはこの週末ずっと素晴らしい走りをしていました。初優勝には心からおめでとうという言葉を贈りたいと思います。最後に、1年を通して頑張ってくれたチームスタッフ全員に感謝します。素晴らしい仲間の一人であることは最高でした。

セバスチャン・ブエミ:
今日はアンソニー・デビッドソンと共に素晴らしいレースを戦うことが出来て最高に嬉しい一日となりました。レースを通してポルシェから強烈なプッシュを受け続けました。彼らは勝つべくして勝ったと言えると思います。レースの最後は再スタートが切られると思っていたので、少し残念でした。しかし、全体的に見るとTS040 HYBRIDの性能にもチームの力にも、マニュファクチャラーとドライバーの二つのタイトル獲得にも大変満足しています。素晴らしい1年でした。チャンピオンとして戦える来年がとても楽しみです。

[トヨタ リリースより]

吉田 知弘(Tomohiro Yoshita)

投稿者プロフィール

フリーのモータースポーツジャーナリスト。主にF1やSUPER GT、スーパーフォーミュラの記事執筆を行います。観戦塾での記事執筆は2010年から。翌年から各サーキットでレース取材を重ねています。今年はSUPER GTとスーパーフォーミュラをメインに国内主要レースをほぼ全戦取材しています。
初めてサーキット観戦される初心者向けの情報コーナー「ビギナー観戦塾」も担当。

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