【F1】2013マレーシアGP:レースレポート

©Getty Images
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2013年のF1世界選手権は早くも第2戦マレーシアGPを迎え、24日(日)に決勝レースが行われた。毎年スコールが発生し、大混乱の展開となるマレーシアGPの決勝。果たして今回はどんなレースになったのか?じっくり振り返って行きたいと思う。

第2戦マレーシアGP決勝結果

【スタートから大混乱!アロンソはまさかの0ポイント】
ポールポジションは2戦連続でセバスチャン・ベッテル(レッドブル)。2番手にフェリペ・マッサ、3番手にフェルナンド・アロンソとフェラーリ陣営が王者の背後についた。開幕戦ウィナーのキミ・ライコネン(ロータス)は予選7番手。しかしQ3でニコ・ロズベルグ(メルセデスAMG)の進路妨害をしたとして3グリッド降格のペナルティを受けた。これにより10番グリッドからのスタートとなり開幕2連勝を成し遂げるには厳しいスタートとなってしまった。

東南アジア特有の“スコール”で毎年決勝レースは大混乱になるマレーシアGP。今回はグリッドに各マシンが並ぶスタート進行の時間にスコールが発生。コースアウトするマシンが続出するなど、ピットやグリッド上は大混乱となった。スタートが近づくにつれ雨は止んだものの、路面はウエット状態のまま、各車小雨用のインターミディエイトタイヤを装着してレーススタートが切られた。

ポールポジションのベッテル、2番手マッサ、3番手アロンソともに無難なスタートを切るが、そこに5番手のマーク・ウェバー(レッドブル)が好スタートで上位3台の争いに食い込む。ダブルヘアピン形状になっているターン1・2をクリアしベッテル、アロンソ、ウェバーの順に。しかしターン2でベッテルに近づきすぎたアロンソが軽く接触しフロントウイングを破損。そのままピットに戻って緊急交換かと思われたが判断ミスによりピット入口を通過。2周目に突入する。そのターン1でウェバーに並びかけられ際、ブレーキング時の衝撃でウイングが脱落。マシン下部に挟まってしまいコースアウト。そのままリタイヤとなってしまった。昨年も些細なアクシデントでポイントを取りこぼしたことでチャンピオン獲得を逃したアロンソ。今回もつまらないミスで早々と“ゼロポイント・レース”を作ってしまった。

【ピットストップのタイミングを工夫したウェバーがレースをリード】
後方の混乱を尻目にベッテルは順調に周回。2位ウェバーに3.5秒のリードを築く。このまま独走態勢に入っていくかと思われたが、スタート前の雨でウエット状態になっていた路面が乾き始めてくる。この変化にいち早く対応したのがベッテルだ。5周目にピットインしミディアムタイヤに変更する。これを皮切りに上位陣は続々とドライタイヤを求めてピットイン。途中ルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)が入ってきた際に間違って古巣マクラーレンのピットBOXに飛び込んでしまう場面があったが、大きな混乱もなく今レース最初のピットストップが進んでいった。しかしウェバーだけはインターミディエイトのまま引っ張り続け、ベッテルの翌々周(7周目)にピットイン。この間、中団グループにひっかかりペースを上げられなかったベッテルを逆転しトップに浮上。これでウェバーがレースの主導権を握った。

【レッドブルvsメルセデスAMGによるトップ争い】
15周を過ぎると徐々に太陽も顔を出し始め、すっかりドライコンディションに。この時点での順位は1位ウェバー、2位ベッテル、3位ハミルトン、4位ロズベルグとレッドブルとメルセデスAMGによるトップ争いに発展していた。今回はピレリが用意しているドライタイヤの中でも一番硬いミディアムとハードが用意されているが全体的に昨年よりも寿命が短くなっており、タイヤ交換からわずか10周で2回目のピットストップを迎えることになった。

まず先に動いたのはウェバー。周りがミディアムタイヤを選択する中で彼のみハードタイヤを装着して走っていた。しかしこれでは思うようにペースが上がらないと判断し、早めに動いたのだ。そこから少し経ち21周目にハミルトン、22周目にベッテルとロズベルグがピットイン。特に大きな順位変動はないものの、このスティントでウェバーが装着したミディアムタイヤと彼のマシンのマッチングが良くなく、ペースダウン。これで4位ロズベルグまでがそれぞれ2秒ずつの間隔に接近することになった。

続く3回目のピットストップ。先に動いたのはハミルトンだった。30周目に入ってハードタイヤに履き替えると一気にプッシュ。32周目に入ったベッテルを逆転し実質的な2番手に浮上する。そのままトップのウェバーも抜き去りたいところだったが、ベッテルの猛追に防戦一方。39周目のターン1で再び2位の座を明け渡してしまう。

【後々に問題となった46周目のターン1】
ハミルトンを抜き返して2位に浮上したベッテル。もう一度首位ウェバーを追うが、これまでのバトルの間に4秒差まで引き離されて、さらにウェバー主導のレースとなっていた。このままウェバーの今季初優勝かと思われたが、最終4回目のピットストップで明暗が分かれることになった。

42周目にベッテルが先にピットインしミディアムタイヤを装着。再度トップを奪い返すために区間タイムでは全体ベストを叩き出すほどの勢いで追い上げ、43周目にピットを済ませたウェバーがコースに復帰した時には、真横にベッテルがいる状態。これで射程圏内まで近づいたベッテルは46周目のストレートで無理やりイン側に飛び込み、ターン1で前に出る。ウェバーも応戦しターン2・3までサイド・バイ・サイドの白熱したバトルが続き、結局ターン4で前に出たベッテルが再びトップに。そのままトップを守り切り、通算27勝目のトップチェッカーを受けた。2位にはウェバー、3位にはハミルトン、4位にロズベルグが入り、レッドブルがワン・ツー・フィニッシュ。メルセデスAMG勢も3・4位と好調さをアピールするレースとなった。

しかし、レース後の表彰式前の控え室で事態は一変する。
同じチーム同士のバトルで接触寸前の無理なスペースに飛び込んだベッテルの走りにチームの技術責任者であるエイドリアン・ニューエイが叱責。さらに2位のウェバーも怒り心頭の様子。実はピット戦略の関係でウェバーが有利な展開に進んでおり、チーム側は余計な接触による2台とものリタイヤを防ぐため両者ともに無理なバトルをせず、ペースを少し落とすように指示を出していた。これでウェバーはペースダウンをしていたのだが、ベッテルはチームの指示を無視し猛追。今回のような逆転劇にいたった。

このレッドブルチーム内で起きた件については、また別の機会に振り返ろうと思う。

次回は第3戦中国GPが4月12〜14日に上海インターナショナルサーキットで開催される。

『記事:吉田 知弘』

吉田 知弘(Tomohiro Yoshita)

投稿者プロフィール

フリーのモータースポーツジャーナリスト。主にF1やSUPER GT、スーパーフォーミュラの記事執筆を行います。観戦塾での記事執筆は2010年から。翌年から各サーキットでレース取材を重ねています。今年はSUPER GTとスーパーフォーミュラをメインに国内主要レースをほぼ全戦取材しています。
初めてサーキット観戦される初心者向けの情報コーナー「ビギナー観戦塾」も担当。

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