【F1】2013第6戦モナコGP:レースレポート

©MercedesAMG
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2013年のF1第6戦モナコGPの決勝レースが、現地時間の26日(日)。世界一過酷な公道コースであるモンテカルロ市街地コースで行われた。前日の予選では雨がパラついたモンテカルロ市街地コースだが、決勝日は再び晴天に恵まれ、世界中のF1ファンがスタンドを埋め尽くした。

ポールポジションは3戦連続でニコ・ロズベルグ、2位にルイス・ハミルトンが入りメルセデスAMG勢がフロントローを独占。3・4位にはセバスチャン・ベッテル、マーク・ウェバーとレッドブル勢が続くグリッドとなった。気温19℃、路面温度40℃のドライコンディションで決勝がスタート。

狭い1コーナーに向けてなんとか前に出ようとベッテルがアクションを起こすがメルセデスAMGの2台で上手く壁を作り、ワン・ツーを死守。上位陣は特に大きな順位変動はなく、今年も我慢比べのモナコGPがスタートした。

今回ピレリタイヤはスーパーソフト(赤)とソフト(黄)を用意。上位陣はQ3からの流れでスーパーソフトを装着。ここまで予選での速さでは抜群のものを持っているメルセデスAMGだが、決勝でのレースペースが伸び悩み、ここ2戦は不甲斐ない内容が続いていた。しかしコース幅が狭く追い抜きポイントが少ないモンテカルロ市街地コースを上手く利用。ハミルトンがベッテルを抑えている間にロズベルグがタイヤの温存しつつ、少しずつリードを築いていき、当初予想されていた2ストップではなく、スーパーソフト→ソフトでつなぐ1ストップ作戦遂行に向けて周回を重ねた。

25周を過ぎたところで上位陣のピットが慌ただしく動き出し、まずは4位ウェバーが25周目にピットインすると、キミ・ライコネン(ロータス)、フェルナンド・アロンソ(フェラーリ)らが続々とタイヤ交換。前回まではメルセデスAMGよりも第1スティントを引っ張っていたメンバーが彼らより早めにピットに入った。その一方でロズベルグとハミルトンは1分19秒台にペースアップしリードを広げようとするが、その直後に予想外の事態が起こってしまう。

ベッテルがタイヤ交換を終えた直後の31周目にフェリペ・マッサ(フェラーリ)が1コーナーでフリー走行3回目と同じような形で大クラッシュ。幸いマッサに大きな怪我はなかったが、これによりセーフティーカーが導入されてしまい、トップ2人はここまでのアドバンテージを失うことになってしまう。

この事態にチームもすぐに2人をピットに呼び寄せソフトタイヤに交換。ロズベルグはトップを死守できたもののハミルトンはレッドブル2台の閃光を許し4位に後退した。

ロズベルグ、ベッテル、ウェバー、ハミルトンの順で39周目に再開。後半に向けてコース上でのトップ争いに注目が集まったが、46周目にパストール・マルドナード(ウィリアムズ)とマックス・チルトン(マルシャ)がタバコ・コーナー手前で接触。そのままコントロールを失ったマルドナードはコース脇のバリアに激突。すぐに赤旗が掲示されレースは中断となった。マルドナードは自力でマシンを降り歩いてコースを離れたが、マシンの回収やバリアとガードレールの修復などもあり約25分中断。日本時間の22時35分にセーフティーカー先導と言う形で再びレースがスタートした。

ここでもロズベルグは抜群の集中力でベッテルに隙を与えず、1コーナーを死守。中断時に上位陣は一斉にスーパーソフトタイヤに交換したが、これがロズベルグにとっては追い風となりベッテルを約3秒後方まで引き離すことに成功。大量リードではないもののDRSを使われる心配もないマージン。63周目に三度セーフティーカーが導入されるが、66周目のリスタートも完璧に決め、自身2勝目に向けて着実に周回を重ねた。

2位ベッテルもモナコ優勝という栄冠を最後まで諦めず、終盤の77周目には1分16秒577とファステストラップを記録するが、今週末のロズベルグは現チャンピオンも届かないくらいの速さを終始キープ。結局、2.9秒のリードを残したままロズベルグが悲願の今季初優勝を獲得。2012年中国GP以来、通算2勝目。そしてちょうど30年前(1983年)に優勝した父ケケ・ロズベルグとともに史上初、親子2代でのモナコGP制覇を成し遂げた。2位にはベッテル、3位にはウェバーとレッドブル勢が入り、チームとしてのモナコGP4連覇は達成されなかった。

ゆっくりウイニングランを終えてメインストレートに戻ってきたロズベルグは、ヘルメットを脱ぐとマシンの上に立って笑顔でガッツポーズ。ここ2戦は予選で速くても決勝でのペースに苦しみ、あっという間に後方に退いていくという悔しいレースを強いられていた。それでも諦めず彼を中心にチーム全体でデータを集め、今回のモナコに乗り込んだ。その結果、フリー走行1回目から全セッションでトップタイム。決勝ではファステストラップこそベッテルに奪われたものの、78周全てでトップをキープ。まさにロズベルグが真の主役となったモナコGPウィークエンドだった。

『記事:吉田 知弘』

吉田 知弘(Tomohiro Yoshita)

投稿者プロフィール

フリーのモータースポーツジャーナリスト。主にF1やSUPER GT、スーパーフォーミュラの記事執筆を行います。観戦塾での記事執筆は2010年から。翌年から各サーキットでレース取材を重ねています。今年はSUPER GTとスーパーフォーミュラをメインに国内主要レースをほぼ全戦取材しています。
初めてサーキット観戦される初心者向けの情報コーナー「ビギナー観戦塾」も担当。

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