【2013ル・マン24H】予選4・5位に終わったトヨタ勢は決勝重視のマシンセットアップに専念

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 いよいよ日本時間の今夜22時00分にスタートが切られるル・マン24時間耐久レース。今年もTS030 HYBRID2台体制でLMP1クラスに参戦するトヨタ・レーシング。19・20日に行われた予選では王者アウディ勢から遅れをとる展開が目立ち、セバスチャン・ブエミ/アンソニー・デビッドソン/ステファン・サラザン組の8号車が3分26秒654で4位。アレキサンダー・ブルツ/ニコラ・ラピエール/中嶋一貴組の7号車は3分26秒676で5位とアウディ勢の先行の許し、ポールポジションの2号車からは4秒も離される予選結果となってしまった。

 今年もアウディ絶対有利で決勝も進んでいきそうな予選内容だったが、チーム代表の木下美明氏は予選よりも決勝を安定して走るためのマシンセッティングを入念に確認していたとリリースで明らかにした。また各ドライバーも「予選よりも決勝」という点を意識して各セッションに臨んでおり、チーム全体でやるべきことを理解して動けている。特に今週末は天候が目まぐるしく変わる傾向にあり、ドライコンディションでの走行時間が極端に限られていた。その中で、1周のラップタイム向上よりも、24時間走り切るためのロングランでのセッティング確認に専念した結果が、今夜の決勝でどう出てくるか?鉄壁の強さを誇るアウディ勢に挑むトヨタ・レーシングの走りに注目だ。

【各ドライバーのコメント(以下、トヨタリリースより)】
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[木下チーム代表(©TOYOTA)]

木下美明 チーム代表:
予選2日目にしてやっと、ドライコンディションでレースセッティングを試すことが出来た。我々は、今日もレースでのペースに照準を合わせて開発を行ったので、この予選グリッドには納得している。ル・マンにおけるターゲットは予選ではなく、日曜日の決勝レース後の結果である。今日は良い日になったし、自分自身、チームの働きぶりに本当に感謝している。

TS030 HYBRID #7:
(アレックス・ブルツ/ニコラス・ラピエール/中嶋一貴)
予選2回目:1番手(3分40秒924)7周
予選3回目:5番手(3分28秒859)34周
スターティンググリッド:5番手

アレックス・ブルツ #7:
今日は、定まらない天候やいくつものアクシデントを散見して、ル・マンがまさしく別格だという事実を見せつけられた一日だった。残念だったのは私がドライコンディションで走行が出来なかった点だ。我々トヨタ・レーシングは予選4番手、5番手。後はレース用のセットアップが正しく働いてくれることを願うばかりだ。もちろんレース戦略も重要。レース当日の朝のウォームアップでレース用に最後の調整をする。勝負は24時間レースだ。

ニコラス・ラピエール #7:
昨日と比べてTS030 HYBRIDはかなり良くなっている。戦闘力の高いパッケージを見つけられたので、今日の仕事はまずまずと言うところ。我々の#7はレースに向けてロングランを行った。長距離レースでは予選の順位よりそちらの方が重要となる。予選4番手、5番手は現時点で我々がなし得たベストの結果だと思う。レースに向けてはタイヤのマネージメントと燃費が鍵になると思う。早くレースが始まることを心待ちにしている。

中嶋一貴 #7:
今日は昨日に続けてレースに向けてのセットアップに注力した。特にタイヤの耐久性を確かめるためにロングランを行った。ただ、天候が著しい変化を見せて、結構難しい予選になった。雨が上がってからもコースが完全に乾ききっていなかったけれど、レースに向けての貴重なデータは取れたと思う。昨日からいくつかの変更を行い、その変化は確認している。ただ、もう少し細かい部分の改良は必要だと思う。とにかく、良いレースにしたいと願っている。

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[左:#7アレキサンダー・ブルツ、右:#8アンソニー・デビッドソン(©TOYOTA)]

TS030 HYBRID #8:
(アンソニー・デビッドソン/ステファン・サラザン/セバスチャン・ブエミ)
予選2回目:5番手(3分42秒507)12周
予選3回目:3番手(3分26秒654)35周
スターティンググリッド:4番手

アンソニー・デビッドソン #8:
ステファン・サラザンが最後にラップタイムを更新してくれて良かった。最初のセッションの私の担当スティントはウェットだったので、大変フラストレーションが溜まったが、ステファン・サラザンとセバスチャン・ブエミがドライコンディションでの良いバランスを見出してくれた。もちろん、昨日よりも上位のグリッドに付けられたのは良いことだが、我々にとって最良のニュースは、TS030 HYBRIDの感触が良く、競争力も高く感じられることだ。長いレースなので、何が起こるかわからない。

ステファン・サラザン #8:
昨日トラブルに見舞われたにもかかわらず、4番手グリッドを獲得出来て本当に嬉しい。満足のいく一日だった。最後はついにドライコンディションで走ることが出来たのも良かったし、グリッドポジションを上げられたのも嬉しい。しかし、優先すべきは常に決勝レースであり、我々のTS030 HYBRIDはレースでのバランスがとても良い。我々全員がTS030 HYBRIDを頼もしく感じており、レースへ向けてのセットアップも整った。長いレースであり、我々は全力を尽くして戦う。

セバスチャン・ブエミ #8:
昨日の予選初日ではちょっとつまずいたが、今日の予選2日目では、最終的に多くの周回をこなすことが出来て満足している。いつも、ル・マンでは夜の運転が特別なものであり、それが、特別な雰囲気を醸し出している。我々は、ステファン・サラザンのお蔭で予選をこなし、とても満足している。しかし、レースは別物だ。決勝レースを見据え、何が起きるか分からない24時間へと、最後まで気を抜かずに仕事を全うする必要がある。

吉田 知弘(Tomohiro Yoshita)

投稿者プロフィール

フリーのモータースポーツジャーナリスト。主にF1やSUPER GT、スーパーフォーミュラの記事執筆を行います。観戦塾での記事執筆は2010年から。翌年から各サーキットでレース取材を重ねています。今年はSUPER GTとスーパーフォーミュラをメインに国内主要レースをほぼ全戦取材しています。
初めてサーキット観戦される初心者向けの情報コーナー「ビギナー観戦塾」も担当。

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