【SGT】2013第6戦富士:GT500クラス プレビュー

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 今週末は富士スピードウェイで2013年のSUPER GT第6戦富士GT300RACEが開催される。今回は人気アイドル「ももいろクローバーZ」が来場するとあって、今までになく注目を集めているが、メインとなるレースも目が離せない。ここを含めて残り3戦となり、チャンピオン争いの候補チームも徐々に絞り込まれてきた。特に今年のGT500クラスは例年になく大接戦。シリーズチャンピオンを目指す各チームの思惑が交錯する1戦になることは間違いないだろう。今回は注目の富士ラウンドで繰り広げられるレースの見どころをご紹介、まず第1弾はGT500クラスだ。

【ウェイト差は10kg。今回も“攻めのレース”が求められる上位5チーム】
 第5戦まで終了し、GT500クラスは史上稀に見る大混戦となっている。ランキング首位のMOTUL AUTECH GT-R(柳田真孝/ロニー・クインタレッリ)を先頭に、上位5台が5ポイント以内にひしめいている。ここ富士での第6戦は、勝ち取ったポイントに応じて課せられるウェイトハンデ(1ポイント=2kg)が積み重なり、その量が一番大きくなるレース(第7戦は1ポイント=1kg、第8戦はウェイトなし)だ。例年、ランキング首位のチームは100kgに達するのだが、この接戦が影響し、ランク首位の柳田/クインタレッリ組は84kgと比較的軽く、2位のカルソニックIMPUL GT-R(松田次生/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)は82kg、3位のウイダーモデューロHSV-010(山本尚貴/フレデリック・マコヴィッキィ)も80kgと僅差。さらに4位のRAYBRIG HSV-010(伊沢拓也/小暮卓史)、5位のDENSO KOBELCO SC430(脇阪寿一/石浦宏明)は共に74kgと、トップ5台のウェイト差はたった10kg。各陣営が積むウェイトの差が少ないのだ。

 例年の流れであれば、ウェイトが積み重なっている上位陣が苦戦し、前半戦でポイントを稼げなかったチームが軽いウェイトでレースをリードする展開になりやすい。だが今年はその差が少ないため、ウェイトを積んでいる上位陣でも表彰台圏内でレースを終えられるチャンスが十分あるということだ。ライバルとのポイント差が少ない分、これから先の1ポイントが非常に大きな意味を持つようになる。第4戦SUGO、第5戦鈴鹿を経て、最終決戦に向けた“さらなる生き残りバトル”が、富士スピードウェイで繰り広げられようとしている。

1位/42pts(WH84kg):MOTUL AUTECH GT-R(柳田真孝/ロニー・クインタレッリ)
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 2年連続チャンピオンを勝ち取っている柳田/クインタレッリ組。今年は2人ともエースチームのNISMOに移籍し、コンビ3連覇を目指している。開幕前から注目が集まっていた一方で、歯車が噛み合わないレースが続き、ここまで未勝利。それでも気がつけばランキング首位とチャンピオンらしい安定感をみせている。過去2年とも、ここ富士では重いウェイトで挑んでいただけに、この84kgでどんなレースが出来るのか?そしてチャンピオン獲得に向けて何が必要かを知り尽くしている2人。今週末はどういう形で彼らのレースを進めていくのか、非常に興味深いところだ。

2位/41pts(WH82kg):カルソニックIMPUL GT-R(松田次生/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)
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 昨年の富士ラウンド(第6戦)で優勝している松田/オリベイラ組。今年も第3戦セパンで勝利しランキング2位につけている。現在は監督としてチームを率いる“元祖日本一速い男”星野一義氏も認めるほどの速さを持っている2人だが、あと一歩というところで運が回ってこずチャンピオン獲得には至っていない。昨年同様に、ここ富士で勝利して初タイトル獲得に一歩近づきたいところだ。

3位/40pts(WH80kg):ウイダーモデューロHSV-010(山本尚貴/フレデリック・マコヴィッキィ)
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 前回の鈴鹿1000kmで悲願のGT500初優勝を飾った山本/マコヴィッキィ組。前半戦では不運続きでポイントを取りこぼす場面もあったが、長距離戦で与えられるボーナスポイント(20+5ポイント)で一気にチャンピオン争いに名乗り出てきた。この1勝で勢いに乗っているのは確実で、8月上旬に行われた富士合同テストでもトップタイムをマークしている。また今年から18号車とタッグを組んでいるミシュランタイヤとの相性も抜群で、特に雨のコンディションで群を抜く速さを発揮する。まさに“重いウェイト”以外は好条件が揃っており、レース展開次第では2連勝という可能性も十分あるだろう。

4位/37pts(WH74kg):RAYBRIG HSV-010(伊沢拓也/小暮卓史)
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 開幕戦ウィナーの伊沢/小暮組。ここまでポイントランキング首位を守ってきていたが、それゆえに前半からウェイトに苦しめられるレースが続いていた。しかし、ここ富士ではライバル達をほぼ同じか少し軽いウェイト。再び、ホンダ陣営が誇るエースコンビが本領を発揮する事になるかもしれない。

5位/37pts(WH74g):DENSO KOBELCO SC430(脇阪寿一/石浦宏明)
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 100号車と同ポイントで5位につける脇阪/石浦組。今シーズン勝利はないものの、ここまで全戦でポイントを獲得し、チャンピオン獲得の可能性も大きく残している。ここ富士は直線スピードに定評があるレクサス勢のホームコースであり、最も得意としているコースで昨年も500kmレースの方で優勝を飾っている(写真右)。今年の第2戦では戦略面で裏目に出てしまった部分があった優勝を逃してしまったが、ライバル達とウェイトの差が少なくなった今回も十分に上位進出のチャンスがある。

【逆転チャンピオンには優勝が必須!ここ富士が最後のチャンスか?】
 その一方で、今季高いパフォーマンスをみせながら、不運続きで結果が残せていないチームがいる。まずは毎戦にわたって優勝争いに絡みながら不運なアクシデントでに見舞われ3戦連続ノーポイントに終わってしまったZENT CERUMO SC430(立川祐路/平手晃平)。前回鈴鹿ではピットインしようとしたタイミングでまさかのセーフティーカー。ピットレーンオープン前に入るとペナルティ(90秒ストップ)を受けてしまうのだが、ガス欠寸前だったため、ペナルティ覚悟でピットイン。結局ポイントを獲得できなかった。
 しかし、首位の23号車との差は19ポイント。数字上では逆転できる可能性は十分残っている。そのミラクルを実現させるためには、まずここ富士での優勝が必須。幸い、ライバルより約30kg以上ウェイトが軽く、レクサスに相性の良い富士スピードウェイが舞台。第2戦の500kmレースでも2位に入っているため、上位に食い込むことは簡単にできるだろう。あとは激しい300km勝負のバトルできっちり生き残って勝利を収めることができるか?名門38号車の真価が問われる1戦となりそうだ。

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 また中盤戦に入って上位に顔を出し始めているREITO MOLA GT-R(本山哲/関口雄飛)も32kgと軽いウェイトで臨む。前回鈴鹿では38号車同様に不運なタイミングでのピットストップとなり優勝争いから脱落。しかし、GT500ルーキーの関口も安定した走りを見せはじめ、ベテラン本山との息もぴったり。今回の第6戦では間違いなくダークホースの1台となるだろう。

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 ランキング上位5チームのウェイト差はたった10kg。ほとんどないと言っても良いほどの差だ。そこにセルモやMOLAと言った最後のチャンスにかけるチームも加わり、大混戦の予感。さらに週末の天気予報は雨と波乱のレース展開になることは確実。一体どのチームがチャンピオン争いに生き残るためのポイントを多く稼ぐことが出来るのか?今週末も一瞬たりとも目が離せない300kmレースになりそうだ。

『記事:吉田 知弘』

吉田 知弘(Tomohiro Yoshita)

投稿者プロフィール

フリーのモータースポーツジャーナリスト。主にF1やSUPER GT、スーパーフォーミュラの記事執筆を行います。観戦塾での記事執筆は2010年から。翌年から各サーキットでレース取材を重ねています。今年はSUPER GTとスーパーフォーミュラをメインに国内主要レースをほぼ全戦取材しています。
初めてサーキット観戦される初心者向けの情報コーナー「ビギナー観戦塾」も担当。

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