2013年のSUPER GT第6戦富士。決勝レースはスタートからゴールまで大波乱の展開となった。午後なって太陽も顔を出しはじめた富士スピードウェイ。路面コンディションも回復し、ドライコンディションで66周の決勝がスタートした。
1コーナーでは順当にZENT CERUMO SC430(平手晃平)、Keeper TOM’S SC430(アンドレア・カルダレッリ)、ウイダーモデューロHSV-010(山本尚貴)と飛び込んでいく。ここ3戦連続でノーポイントが続いており、逆転チャンピオンのためには後がない38号車セルモは、スタートドライバーの平手が序盤から渾身の走りでリードを広げていく。そのチャンピオン争いで好位置につける3位18号車ウイダーモデューロHSVの山本も順位をキープしたかったが、思いの外タイヤが厳しくなりペースダウン。一気に9位まで後退してしまう。
平手がリードした状態で中盤に差し掛かろうとした19周目、14位を走行していたEPSON HSV-010の道上龍がメインストレートで突然タイヤバースト。そのままイン側のガードレールにヒットした。幸い道上に大きな怪我はなかったが、コース上に破片が散乱したため21周目にセーフティカーが導入される。これが後半に向けて大荒れの展開となるきっかけとなってしまった。ちょうどレース全体の3分の1(22周)を消化したため、ピットレーンオープンとなった23周終わりで一気にピットへ。各車ドライバー交代を行うが、38号車はピットアウトしようとした瞬間に他車がピットインするタイミングと重なってしまい痛恨のタイムロス。その間にREITO MOLA GT-R(本山哲/関口雄飛)が作業を終えて先にコースに復帰。しかし、唯一D’Station ADVAN GT-R(安田裕信/ミハエル・クルム)だけがピットに入らずステイアウトを選択。24号車を先頭にレースが再開される。
すると4位に上がったKEIHIN HSV-010(塚越広大)が積極的に仕掛けていく。26周目に38号車の立川を抜き、1号車の関口に接近するが、セーフティカー解除時に違反があったとしてドライブスルーペナルティ。これで塚越は2位に浮上し、トップを快走する24号車を追いかける。
24号車のKONDOレーシングはレース中盤に雨が降ってくると予想。もしウエットになれば全車再度ピットインする必要があるため、そのタイミングでドライバー交代を済ませようと考えていたのだ。その予想通り30周を過ぎたあたりから雨が降り始めるが、レインタイヤが必要になるまでの雨にはならず、結局41周目にピット。戦略は的中しなかった。
これでトップは塚越になるが、ベテラン立川も諦めてはおらず再度アタック。得意のストレートスピードを上手く利用し、42周目の1コーナーで再びトップを奪い返した。塚越も必死に食らえつくが立川も最後まで集中力を切らさず、最後は2.8秒の差をつけて、待望の今季初優勝を飾った。2位には金石/塚越組の17号車、3位には伊藤/カルダレッリ組の37号車が入った。
前回鈴鹿でのノーポイントで、一度は消えかけたチャンピオンの可能性も、今回の優勝でトップから3ポイント差の4位に浮上。「3戦連続ノーポイントは本当に悔しかった。チャンピオンのことを考えると勝つしかチャンスはない状態だったので嬉しいです。でもチャンピオンをとることが最終的な目標なので、この勝利だけでは喜べないです。」と立川はコメント。平手も「クルマはいつよ良い感じだったのに結果がついてこなくてフラストレーションばかり溜まっていました。前回の鈴鹿から今回の富士にかけて、タイヤやクルマ、自分のここまでの走りなどをもう一度見直して準備してきた結果がちゃんと形になってよかったです。」と欲しかった勝利を手にして、ホッとした様子だった。
注目のチャンピオン争いは、18号車の山本/マコヴィッキィ組とカルソニックIMPUL GT-Rの松田次生/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ組が46ポイントで並んだが、入賞回数の差で18号車が首位に浮上。MOTUL AUTECH GT-R(柳田真孝/ロニー・クインタレッリ)は今回9位で終えたため、44ポイントの3位に後退し、以下38号車(43ポイント)、17号車(41ポイント)と続き、残り2戦で10ポイント以内に8台がひしめく大混戦。第7戦オートポリス、第8戦もてぎ共に目が離せない。
『記事:吉田 知弘』
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