【F1】第14戦シンガポールGP:レースレポート

©Pirelli
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 2014年のF1第14戦シンガポールGPの決勝が21日、シンガポール中心地の特設コース「マリーナ・ベイ・ストリート・サーキット」で開催された。

 今年も1600基の照明で照らされたシンガポールの夜の街にF1マシンが登場。幻想的な空間が生まれ、決勝も白熱したレースが繰り広げられた。

 ポールポジションは今季6回目のルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)。フロントローにチームメイトのニコ・ロスベルグがついたが、グリッドへの試走時にトラブルが発生。時間内にピットを離れることができずピットスタートを余儀なくされる。さらにフォーメションラップ中には20番手の小林可夢偉(ケータハム)のマシンにもトラブルが発生し、途中でストップ。スタートを切る前にリタイアを余儀なくされた。

 スタート前から混乱が見られたシンガポールGP決勝。最大のライバルがいなくなったハミルトンは余裕で1コーナーを通過。空席となった2番手を目がけてダニエル・リカルド(レッドブル・レーシング)、セバスチャン・ベッテル(レッドブル・レーシング)、フェルナンド・アロンソ(フェラーリ)の3台が並んで1コーナーへ。アロンソが止まりきれず2コーナーをショートカットする形でコースに復帰するが、アドバンテージをなくすためベッテルに順位を譲り結局ペナルティの対象にはならなかった。

 今季初優勝に向けて何としてもトップを奪いたいベッテルだったが、ここシンガポールでもシルバーアローの勢いは止まることなくハミルトンが徐々にリードを広げていく。一方、後方で追い上げを試みていたロズベルグだったが、トラブルが再発し13周でマシンを降りた。ランキング首位が0ポイントに終わることが確定すると、ハミルトンはさらにペースアップ。自らのポジションを確実なものにするべく、さらにリードを広げた。

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 ところが折り返しに差し掛かろうとした31周目に予想外の事態が発生。後方で接触が発生しフロントウイングの破片がコース上に散らばる。これらを回収するためセーフティーカーが導入されたのだ。

 もちろんハミルトンがここまで築いてきたリードはなくなるのだが、それ以外にも彼を苦しめる事態が発生する。このセーフティーカーを利用してアロンソが3回目のピットストップを済ませソフトタイヤに交換。その前を走るレッドブル勢2台は2回目のピットストップ時にソフトタイヤを導入しており、このまま最後まで走り切ることが出来る。一方のハミルトンはスタート以降、2回のタイヤ交換でスーパーソフトタイヤを投入しており、2種類のタイヤ使用義務を果たしていない。レース再開後にもう一度タイヤ交換が必要。そのためのロスタイム約27秒を稼がなければならないのだ。

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 38周目にリスタートが切られるとハミルトンは猛プッシュを開始、1周あたり1.5秒ずつベッテルを引き離していく。そして残り9周で25.2秒まで広げたところでピットイン。ここでソフトタイヤに交換し無事に義務を消化。しかし、リードがわずかに足りずベッテルが先に1コーナーを通過する。

 しかし新品のソフトタイヤを履くハミルトンはすぐに追い付き54周目にあっという間に逆転。そのまま序盤のような独走劇を披露し、13.5秒差をつけてチェッカーを受けた。

 なお今回は途中セーフティーカー導入があった関係で、規定の61周よりも前に上限に定められている2時間を経過したため、1周少ない60周でレースが終了した。2位にはベッテル、3位にリカルド、4位にアロンソが続いた。

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 これでトータル241ポイントに伸ばし、ついにランキング首位の座を手に入れたハミルトン。パルクフェルメに帰ってくるとマシンの上でガッツポーズをみせた。

 次回はいよいよ第15戦日本GP。いよいよ大詰めを迎えたロズベルグvsハミルトンのチャンピオン争いから目が離せない。

『記事:吉田 知弘』

吉田 知弘(Tomohiro Yoshita)

投稿者プロフィール

フリーのモータースポーツジャーナリスト。主にF1やSUPER GT、スーパーフォーミュラの記事執筆を行います。観戦塾での記事執筆は2010年から。翌年から各サーキットでレース取材を重ねています。今年はSUPER GTとスーパーフォーミュラをメインに国内主要レースをほぼ全戦取材しています。
初めてサーキット観戦される初心者向けの情報コーナー「ビギナー観戦塾」も担当。

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