【F1】2015第2戦マレーシアGP:レースレポート

©Ferrari
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 2015年のF1世界選手権の第2戦マレーシアGP。注目の決勝レースが29日、セパン・インターナショナル・サーキットで開催された。

 前日の公式予選では雷雨によりセッションが中断するなど波乱に見舞われたが、決勝日は気温30度、路面温度60度を超えるマレーシアらしい灼熱のコンディションとなった。

 ポールポジションは開幕2戦連続でルイス・ハミルトン(メルセデス)、2番手にはセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)がニコ・ロズベルグ(メルセデス)間に割って入りフロントローを勝ち取った。

 スタートでは順当にハミルトン、ベッテル、ロズベルグが1コーナーへ。後方ではフェリペ・ナスル(ザウバー)とキミ・ライコネン(フェラーリ)が接触。ライコネンはタイヤをバーストさせてしまい緊急ピットインを余儀なくされる。

 今回もハミルトン主導の展開かと思われたが、早くもレースのハイライトを迎える。3周目の1コーナーでマーカス・エリクソン(ザウバー)がコースオフ。安全確保のためセーフティカーが導入される。すると、メルセデス勢は早くも1回目のピットストップを消化。ミディアムからハードに交換し中盤戦を見据えた第2スティントに備える。一方のベッテルはステイアウト(コース上に留まること)を選択。6周目にレースが再開されると、集団に埋もれてペースが上がらないシルバーアローを尻目に1分46秒台を連発。あっという間に後続との差を広げていく。

 11周目にニコ・ヒュルケンベルグ(フォース・インディア)をパスしたハミルトンはやっと2位に復帰。しかしベッテルとの差は10秒に広がっており主導権を奪われてしまう。今回は暑さとコースの特性等もありタイヤの消耗が激しくなると予想されていたが、ベッテルは今回持ち込まれている2種類のドライタイヤのうち、柔らかい側のミディアムタイヤを巧みにコントロール。消耗によるペースダウンを最小限に抑え、17周目に1回目のタイヤ交換。メルセデス勢はハードタイヤを選択したがベッテルは引き続きミディアムを選択。1分44秒台にペースを上げてピットストップの間に先行した2台にあっという間に追いついてしまう。

©Ferrari
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 開幕戦では他を圧倒したメルセデス勢だったが、今回は跳ね馬に追い詰められる展開。ハードタイヤでも消耗が激しく周回数を稼ぐことが出来ない。結局ハミルトンが24周目、ロズベルグが26周目に2回目のピットストップを敢行。ライバルより1回多い3ストップ作戦を余儀なくされる。

 一方、後方ではシーズン前から苦戦が続いているマクラーレン・ホンダ勢が見せ場を作る。特にジェンソン・バトンは中団グループの中に入って接近戦のバトルを披露。フェルナンド・アロンソとともに一時はポイント圏内も走行するが、灼熱のマレーシアで懸念していたトラブルが発生。アロンソは21周、バトンも41周でガレージインとなり無念のリタイアとなった。

 終盤は後続に10秒の差をつけ、独走状態となったベッテル。終盤はマシンを労りながら走行。自身としては2013年ブラジルGP以来、21戦ぶりのトップチェッカーを受けた。2位にはハミルトン、3位にはロズベルグがそのまま続き、序盤のアクシデントから挽回したライコネンが4位に入った。

 子供の頃から憧れていたフェラーリのシートを獲得。その2戦目で念願の勝利を手にしたベッテルはチェッカーを受けると無線で雄叫びを上げ喜びを爆発。イタリア後で「Grazzie(グラチェ)」と何度もコールしチームに感謝した。また昨年は21年ぶりにシーズン未勝利と大不振に終わったフェラーリにとっても2013年スペインGP以来、なんと1年10ヶ月ぶりの勝利となった。これにはメカニックも大喜びでパルクフェルメにはフェラーリの跳ね馬の旗やイタリア国旗を持って集結。ベッテルを大歓声で迎えた。

©Pirelli
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 表彰台では何度もガッツポーズをみせたベッテルは「言葉にならない。今日は僕にとってもチームにとっても特別な日になった。本当に温かく迎え入れてくれたチームに感謝したい」とコメントした。

 これでドライバーズランキングでもロズベルグを抜いて2位に浮上。まだシーズンが始まったばかりではあるが、メルセデス勢の独走を食い止める存在となっていきそうだ。

【2015F1第2戦マレーシアGP 決勝結果】
1:セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)
2:ルイス・ハミルトン(メルセデス)
3:ニコ・ロズベルグ(メルセデス)
4:キミ・ライコネン(フェラーリ)
5:バルテリ・ボッタス(ウイリアムズ)
6:フェリペ・マッサ(ウイリアムズ)
7:マックス・フェルスタッペン(トロ・ロッソ)
8:カルロス・サインツJr(トロ・ロッソ)
9:ダニール・クビアト(レッドブル・レーシング)
10:ダニエル・リカルド(レッドブル・レーシング)
11:ロマン・グロージャン(ロータス)
12:フェリペ・ナスル(ザウバー)
13:セルジオ・ペレス(フォース・インディア)
14:ニコ・ヒュルケンベルグ(フォース・インディア)
15:ロベルト・メルヒ(マノーマルシャ)
以上、完走15台


R:ジェンソン・バトン(マクラーレン)
R:フェルナンド・アロンソ(マクラーレン)

吉田 知弘(Tomohiro Yoshita)

投稿者プロフィール

フリーのモータースポーツジャーナリスト。主にF1やSUPER GT、スーパーフォーミュラの記事執筆を行います。観戦塾での記事執筆は2010年から。翌年から各サーキットでレース取材を重ねています。今年はSUPER GTとスーパーフォーミュラをメインに国内主要レースをほぼ全戦取材しています。
初めてサーキット観戦される初心者向けの情報コーナー「ビギナー観戦塾」も担当。

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