【F1】2016スペインGP:レースレポート

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 2016年のF1第5戦スペインGPが5月13〜15日にバルセロナのカタロニア・サーキットで開催された。

 この週末から、本格的にヨーロッパラウンドがスタート。各陣営ともアップデートパーツを持ち込み、さらに上位を目指し激しいポジション争いが繰り広げられた。

 予選ポールポジションは今季3回目となったルイス・ハミルトン(メルセデス)。となりの2番グリッドに僚友ニコ・ロズベルグが並んだ。スタートでは、1コーナーまでの長い直線を利用しロズベルグがパス。しかしハミルトンも負けじと食らいついていく。ところが、この直後にとんでもないシーンが待ち構えていた。

 強引にインを築こうとしたハミルトンに対し、強引にラインを塞ぐロズベルグ。ターン4手前で2台が接触してしまいサンドトラップへ。両者ともマシンに大きなダメージを負いリタイアを余儀なくされた。2台が同士討ちするのは2014年のベルギーGP以来。このコンビになった2013年以降、メルセデス勢が全滅するのは初めてのことだ。

 この混乱でセーフティカーが導入。マシン回収等が終わり、メルセデス不在という形でレースが進んでく。

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 これでトップに立ったのはダニエル・リカルド(レッドブル・レーシング)。2番手に今回から同チームに緊急加入したマックス・フェルスタッペンが続く。

 3番手には母国GPを迎えていたカルロス・サインツJr(トロ・ロッソ)。数周にわたりフェラーリ勢2台を押さえるが、8周目にセバスチャン・ベッテル、10周目にキミ・ライコネンにかわされ表彰台圏内から脱落して行ってしまった。

 レース中盤にはフェラーリ勢も追いつき、4台によるトップ争いに突入。しかし、カタロニア・サーキットはタイヤへの負担も大きく前回とは異なり複数回のピットストップが必要。ここでドライバーによって戦略が分かれる。

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 フェルスタッペンとライコネンは2ストップ作戦を選択。一方、リカルドとベッテルはタイヤが持たないと判断し3ストップへ。これで30周目以降はそれぞれの位置関係も気にしながらのバトルとなったが、結果的に先行したのは2ストップを選んだ2人。なんと若干18歳のフェルスタッペンがラップリーダーとなり、終盤戦に突入していく。

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 このままチェッカーまで突き進みたいところだったが、こちらも2013年以来となる勝利を目指すライコネンが背後につける。史上最年少優勝を目指すフェルスタッペンとの激しい攻防戦が展開。サーキットに詰めかけたファンも手に汗を握った。

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 なんとか並びかけるチャンスがほしいライコネン。積極的にプレッシャーをかけていくが、フェルスタッペンは全く動じることなく、ついにファイナルラップへ。最後は0.6秒差まで迫るが順位は変わることなくチェッカーフラッグ。フェルスタッペンがデビュー24戦目にして初優勝を飾った。2位にはライコネン、3位にはベッテルが続きフェラーリ勢がダブルで表彰台を獲得した。

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 これまでベッテルが保持していた21歳73日の最年少優勝記録を2年以上更新。18歳228日という、今後破られることがないであろう記録を打ち立てたフェルスタッペン。何よりトップチームであるレッドブル・レーシングに加入して初のレースで予想上の活躍をみせた。これにはクリスチャン・ホーナー代表も無線で「信じられない、チームに入って初めてのレースなのに素晴らしいよ。おめでとう」と祝福していた。

吉田 知弘(Tomohiro Yoshita)

投稿者プロフィール

フリーのモータースポーツジャーナリスト。主にF1やSUPER GT、スーパーフォーミュラの記事執筆を行います。観戦塾での記事執筆は2010年から。翌年から各サーキットでレース取材を重ねています。今年はSUPER GTとスーパーフォーミュラをメインに国内主要レースをほぼ全戦取材しています。
初めてサーキット観戦される初心者向けの情報コーナー「ビギナー観戦塾」も担当。

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