【MotoGP™】2016日本GP決勝レースレポート:もてぎラウンド決勝はまさかの展開!マルク・マルケスのチャンピオンが決定!

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ツインリンクもてぎで16日、2016MotoGP™第15戦MOTUL日本グランプリの決勝が行われた。

今年は3日間とも天気に恵まれ、最終日の決勝も絶好のレース観戦日和。オープニングセレモニーでは航空自衛隊の「T-4」が歓迎フライトを行うなど華やかな雰囲気に包まれた。また早朝から多くのバイクファンが訪れ、各スタンドもほぼ満員状態になるなどの盛況ぶりだった。

©T.Yoshita/KANSENZYUKU ©T.Yoshita/KANSENZYUKU

注目の最高峰MotoGP™クラス。ポールポジションはバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)、2番手にマルク・マルケス(ホンダ)、3番手にホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)というフロントローになった。

スタートでは、マルケスがホールショットをとったかに思われたが、2コーナーでロレンソがインをついてトップへ。ロッシは3番手に下がるが、チャンピオン争いをする3人のライダーが序盤から積極的に攻め合うバトルをみせる。そんな中、4周目にマルケスがトップに浮上。少しずつリードを広げていった。

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それに続くかのようにロッシも6周目にロレンソをパス。そのままマルケス追撃に入るが、7周目のヘアピンでスリップダウンから転倒。なんとか再スタートしピットまで戻ってくるがリタイアとなってしまった。

ランキング2位のロッシがいなくなったことで、マルケスのチャンピオン決定の可能性が出てきたが、2番手に上がったロレンソが、その順位を維持すればギリギリで逆転タイトルのチャンスを残すことになる。

マルケスは、とにかく日本GP初制覇を目指しプッシュ。後続との差を少しずつ広げていった。トップ3がこう着状態となった中盤戦で見せ場を作ったのがスズキ勢。序盤から上位をキープしていたアレイシ・エスパルガロにマーベリック・ビニャーレスが接近。チームメイト同士の激しい4番手争いとなり、スタンドも釘付けになって見入っていた。

残り8周になってのトップ3はマルケス、ロレンソ、そして3番手にアンドレア・ドヴィツォーゾ(ドゥカティ)というメンバー。このままの順位でチェッカーを迎えるかと思われたが矢先、まさかの展開が待ち受けていた。

20周目のV字コーナーで、今度はロレンソがスリップダウンから転倒。そのままリタイアとなる。

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これで事態が急変。マルケスが優勝すれば、3度目となるMotoGP™チャンピオンが決まる。ロレンソリタイアの報はすぐにピットサインで彼に伝えられる。「ロッシがリタイアした時は何とも思わなかったけど、ロレンソがリタイアしたと知ってからは急にチャンピオンのことを意識しだして、何度かミスしてしまった」というマルケス。一時は4.5秒あったドヴィツォーゾとの差が3秒近くにまで縮まってしまうが、最後までしっかり集中してバイクをコントロール。そのままトップを守りきりチェッカーを受けた。2位にドヴィツォーゾが続き、3位にはビニャーレス。スズキ勢に最高峰クラスでは14年ぶりとなる日本GPでの表彰台をもたらした。

これでマルケスは2013、2014年に続き3回目MotoGP™チャンピオンに輝き、世界選手権ではMoto2™、Moto3™時代を含めて計5回目の王座獲得となった。

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2014年ではサムライの演出があったウイニングラン。今年は、まさかの展開で決まったタイトルということで、もしかするとチャンピオンTシャツなどの用意がないのではないかと思われたが、チームはしっかりと用意。さらに金色のヘルメットも登場し、それにかぶり直してウイニングランを行った。

また、今回ワイルドカードで参戦した中須賀克行(ヤマハ)は16番手スタートから着実な走りを見せ11位でフィニッシュ。金曜日の走行で転倒、負傷欠場となったダニ・ペドロサ(ホンダ)の代役として急きょ参戦した青山博一も最後尾から粘り強い走りを見せ15位フィニッシュ。両者とも母国GPでポイントを獲得した。

【Moto2™では中上貴晶が好レースを見せるも、一歩及ばず4位】
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またMoto2™では、中上貴晶が素晴らしいレースを披露。7番手スタートとやや後方からの追い上げとなったが、抜群のスタートから順位を上げていき2周目に3番手に浮上。母国での表彰台への期待も一気に高まった。しかし、13周目の3コーナーで膨らんでしまい4番手に下がってしまうと、その後は苦しい展開に。残り周回数も少なくなっていく中、「このままでは終わりたくなかった」という中上は、意地の猛プッシュを開始。縁石いっぱいまで攻めていくライディングで3番手のフランコ・モルビデッリに迫っていき、ついにファイナルラップのS字で並びかけV字コーナーでオーバーテイク。その瞬間、サーキット全体が揺れるような大歓声に包まれた。

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しかし、モルビデッリも意地をみせ直後の90度コーナーで再び逆転。中上も最終コーナーで再び並びかけるが、前に出るには至らずそのままチェッカー。悔しい4位となった。なお優勝はトーマス・ルティ、2位にはヨハン・ザルコが入りチャンピオン争いでのリードを広げている。

【Moto3™は尾野弘樹が活躍、3位チェッカーを受けるが無念の失格裁定】
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Moto3™クラスでは、前日の予選でキャリア初ポールポジションを獲得した尾野弘樹が魅せる。フリー走行で受けたペナルティにより4番手からのスタートとなるが、序盤から6台の集団となった激しいトップ争いに参加。積極的にチャンスをうかがっていく。

特にコース後半の90度コーナーでのブレーキングで仕掛けていき、終盤には3番手に浮上。最終ラップもSky Racing Team VR46の2人と激しい三つ巴になるが、何とかポジションを守りきりチェッカー。母国レースで嬉しい3位表彰台を獲得した、はずだった。

しかし、レース後の車検で重量規定違反の裁定が下され、無念の失格となった。また21年ぶりに日本人女性ライダーとしてスポット参戦を果たした岡崎静夏は26位でフィニッシュした。

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今年も3日間を通して大盛況となったMotoGP™第15戦日本GP。決勝日は昨年を上回る52,216人が来場。総動員数も昨年より約3,000人多い88,472人となった。

吉田 知弘(Tomohiro Yoshita)

投稿者プロフィール

フリーのモータースポーツジャーナリスト。主にF1やSUPER GT、スーパーフォーミュラの記事執筆を行います。観戦塾での記事執筆は2010年から。翌年から各サーキットでレース取材を重ねています。今年はSUPER GTとスーパーフォーミュラをメインに国内主要レースをほぼ全戦取材しています。
初めてサーキット観戦される初心者向けの情報コーナー「ビギナー観戦塾」も担当。

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