2013年のF1世界選手権の第5戦スペインGP。現地時間の12日(日)に注目の決勝レースが行われた。予選日同様に晴天に恵まれたカタルーニャ・サーキットには、この日も母国出身のフェルナンド・アロンソ(フェラーリ)を応援するファンが詰めかけ、グランドスタンドをはじめ各コーナーは満員となった。
ポールポジションは2戦連続でニコ・ロズベルグ。僚友のルイス・ハミルトンとともにメルセデスAMG勢が独占。それを3番手セバスチャン・ベッテル(レッドブル)、4番手キミ・ライコネン(ロータス)、5番手にアロンソと、チャンピオン経験者が包囲網を作るグリッド順。なおフェリペ・マッサ(フェラーリ)とエステバン・グティエレス(ザウバー)は予選中に他車のアタックを妨害したとして3グリッド降格ペナルティを受けてのスタートとなった。
スタートでは、1コーナーまで約700mあるロングストレートを利用し、ベッテルとアロンソがシルバーアローの2人に襲いかかるが、1コーナーでは抑えこみワン・ツーを死守。しかしハミルトンは進入時にタイヤをロックさせてしまい、その後ベッテル、アロンソ、ライコネンと抜かれ早々と後退してしまう。一方チームメイトのロズベルグはトップをキープ。前回バーレーンGPではレースペースが伸びず大苦戦、あっという間に後退を余儀なくされてしまった。今回は予選で使用したミディアムタイヤを上手く使いこなし何とか第1スティントを終える。
66周のレースも10周目に差し掛かろうというところでピットが慌ただしくなる。今回ピレリタイヤが用意したのはミディアム(白)とハード(オレンジ)の2種類。しかし例年以上に垂れが早く、カタルーニャ・サーキットはタイヤに厳しい。今回は殆どのドライバーが4回ストップを選択した。まずはアロンソが上位陣の中では一番早い9周目にピットインし、ハードに履き替える。続く10周目、ロズベルグとベッテルがピットに入りハードタイヤに交換。この間に先にアロンソが追い上げ、ロズベルグのすぐ後方に飛び込み1つ順位を上げた。第1スティントでは何とか持ちこたえていたロズベルグだったが、ハードタイヤに替えたとたんにペースダウン。次々と後続に抜かれ、またしても悔しい形で優勝争いから脱落してしく。
これでトップにたったアロンソは、1分29秒台を連発し後続との差を広げ、20周目に2回目のピットイン。予定通りに4ストップ作戦を実行していく。当初は3ストップを考えていたベッテルだったがタイヤが予想以上に厳しくなり4ストップ作戦に変更し後退。その後方から上手くタイヤマネジメントをしてチャンスを伺っていたライコネンが少しずつ迫ってくるが、重要な場面でベストタイムを連発。戦略の関係上、一度はトップを譲ることになったアロンソだったが、両者ともに1回ずつのピット作業を残した40周目の1コーナーでライコネンをオーバーテイク。その後も1分28秒台の安定した走りを終盤まで続け、結局は10秒近い差をつけてチェッカーフラッグ。通算32勝目となる今季2勝目を挙げた。優勝には届かなかったが、今回も見事なピット戦略をみせたライコネンが2位、3位にはマッサが、グリッド降格ペナルティを乗り越えて今季初の表彰台を獲得した。
母国スペインでは2012年のヨーロッパGP(バレンシア市街地コース)で勝っているアロンソだが、ここカタルーニャ(スペインGP)での勝利は2006年以来7年ぶり。スタンドからはマシンのエキゾーストノートを掻き消すくらいの大歓声に包まれ、地元スペインの英雄を祝福。ゴール直後に受け取ったスペイン国旗を掲げてウイニングランを行ったアロンソはパルクフェルメに戻り、マシンを降りると大きく拳を突き上げた。
昨年のバレンシアでは表彰台で号泣して喜んでいたが、今回はスペイン国歌を誇らしげな表情で聴き、ファンに対して何度も手を振って声援に応えた。「毎ラップ走りながら、コースサイドファンの大きな声援は強く感じていたし、自分にとって大きな力になった。チームもこの週末は僕が母国GPで最高の結果を出せるようにとたくさんの努力をしてくれた。これらがなかったら、今日は絶対に勝てなかったよ。本当に感謝している。」とポディウムインタビューで駆け付けたファンと、全力で支えてくれたチームに感謝した。
注目のポイントランキングは、首位ベッテルが何とか4位でチェッカーを受けたため89ポイントと順位は変わらないが、2位で18ポイントを稼いだライコネンが4ポイント差に迫られた。優勝したアロンソはトータル72ポイントに伸ばしランキング3位に浮上。以下ハミルトン(50pts)、マッサ(45 pts)、マーク・ウェバー(42 pts)と続いている。
次回のF1は第6戦モナコGPが5月23〜26日に開催。今年も大混戦の状況で伝統のレースを制するのはどのドライバーか?非常に注目だ。
『記事:吉田 知弘』
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