【F1】第12戦ベルギーGP:レースレポート

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『Photo:Pirelli』

1ヶ月の夏休みを終えて、2012年のF1はいよいよ後半戦に突入。2日(日)に第12戦ベルギーGPの決勝が行われた。

舞台はシリーズ屈指の難コースであるスパ・フランコルシャン。全長7kmと一番長く、オー・ルージュといったドライバーの度胸が試されるコーナーなどもたくさんある。

ドライバーの腕と度胸でタイムが大きく変わってくる“ドライバーズサーキット”と言われるスパで、土曜日の公式予選では小林可夢偉(ザウバー)が魅せた。


『Photo:Pirelli』

ザウバーマシンとも相性が良いスパで、順調にQ3進出を果たすと、最終アタックでセクター2全体ベストを叩きだし、自己最高の予選2位タイムを記録。遠く日本で見守る可夢偉ファン、F1ファンが大きく湧い上がった瞬間だった。

注目の決勝レース。ポールポジションは3年ぶりとなるジェンソン・バトン(マクラーレン)。その横に小林可夢偉が並んでのスタート。しかしフォーメションラップから帰ってきた可夢偉のマシンのブレーキ部分から白煙が上がるハプニング。オーバーヒートが原因だったが致命的なトラブルにはなく、そのままスタート。しかし可夢偉の不運は更に続いた。
無難にホールショットを決めたバトンに対し、可夢偉はクラッチシステムの不具合でホイールスピン。やや出遅れてのダッシュとなった。バトンを先頭に1コーナーになだれ込んでいくマシン。その後方で8番手スタートのロマン・グロージャン(ロータス)がルイス・ハミルトン(マクラーレン)をイン側に押し出してしまい、2台が接触。そのまま1コーナーにアプローチしていたフェルナンド・アロンソ(フェラーリ)、セルジオ・ペレス(ザウバー)に激突。さらに一番アウト側にいた可夢偉も巻き込まれる多重クラッシュとなってしまった。

グロージャンのマシンは中を舞うほど、ここ最近の中ではインパクトの強いクラッシュとなってしまい、アロンソは一時コックピットから降りることが出来なかったが、幸い怪我はなく少し時間をおいて自力で脱出。ただチャンピオン争いが本格化する後半戦最初のレースを0ポイントで終えてしまう形となり、クラッシュの衝撃以上に大きな痛手を負ってしまった。

この多重クラッシュにより、すぐにセーフティカーが導入。バトン、キミ・ライコネン(ロータス)、ニコ・ヒュルケンベルグ(フォースインディア)の順で隊列走行が続いた。可夢偉もマシンにダメージを受けたものの走行可能。すぐにピットに入って応急処置を行った後、戦列に復帰したが、20位まで後退。悲願の初表彰台の可能性が潰えてしまう。

マシンの撤去も終わり、5周目に再スタートが切られると、バトンが一気にスパート。あっという間に後続に対して5秒のリードを築いた。再スタート後すぐにヒュルケンベルグがライコネンをパスし2位に浮上するも、異次元の速さで逃げていくバトンには太刀打ちできなかった。

10周目を過ぎると各車1回目のタイヤ交換のためピットに戻ってくる。しかしトップを快走するバトンはレース中盤の20周目まで引っ張ってピットへ。タイヤへの負担が大きくなる1ストップ作戦を選択した。序盤での大量リードが効き、2位ライコネンの7秒前方でコースに復帰すると、予選から続く圧倒的な速さを再び披露し、大量リードを築き直していった。


『Photo:Pirelli』

このバトンと同じように1ストップ作戦を選択してきたドライバーがもう一人いた。現王者のセバスチャン・ベッテル(レッドブル)である。土曜日の公式予選では、まさかの11位でQ2敗退。今年はスパのような高速コーナーの多いコースで苦戦しているレッドブル勢。決勝も厳しいレース展開になるかと思われた。そこでレースペースで勝てない分、ピット戦略での逆転を狙い1ストップ作戦を選択。これが見事に的中し最終的にライコネンやヒュルケンベルグらを逆転して2位に浮上した。

後半スティントも全く危なげない走りで周回を重ね、最終的に後続に13.6秒の大差をつけたバトン。そのまま開幕戦オーストラリアGP以来となる今季2勝目のチェッカーを受けた。

2位には1ストップ作戦を的中させたベッテル、3位にはライコネンが入り2戦連続で表彰台を獲得した。スタート直後のアクシデントで後退した可夢偉は粘り強い走りを見せるも、クラッシュ時のダメージが響き13位。悲願の初表彰台は次回以降へ持ち越しとなった。


『Photo:Pirelli』

開幕戦オーストラリアGPでの優勝以降、ポイント獲得が出来ないレースが続きスランプに陥ってしまっていたバトン。気がつくと第11戦ハンガリーGP終了時点でランキング首位のフェルナンド・アロンソ(フェラーリ)に対して88ポイントの差が広がってしまっていた。現在のポイントシステムでは優勝すると25ポイントが与えられるが、さすがに88ポイントの差を縮めるのは不可能に近い状態。今週末も「チームオーダーがバトンに対して出るのではないか?」という報道も流れていた。

レース後、バトンは「僕は数字的な部分(ポイント)の可能性がゼロになるまで諦めないし、プッシュし続ける。それを今日は証明することが出来たと思う。」とコメント。首位アロンソとの差を63ポイントに縮め、チャンピオン争いへの望みをつないだ。

『記事:吉田 知弘』

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吉田 知弘(Tomohiro Yoshita)

投稿者プロフィール

フリーのモータースポーツジャーナリスト。主にF1やSUPER GT、スーパーフォーミュラの記事執筆を行います。観戦塾での記事執筆は2010年から。翌年から各サーキットでレース取材を重ねています。今年はSUPER GTとスーパーフォーミュラをメインに国内主要レースをほぼ全戦取材しています。
初めてサーキット観戦される初心者向けの情報コーナー「ビギナー観戦塾」も担当。

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