【F1】第14戦シンガポールGP:レースレポート

『Photo:Pirelli』
『Photo:Pirelli』

全20戦で争われる今年のF1世界選手権も今回を含め残り7戦。シリーズで唯一ナイトレースとして開催される第14戦シンガポールGP決勝が23日(日)に行われた。

22日(土)の公式予選ではルイス・ハミルトン(マクラーレン)が2戦連続でポールポジションを獲得。パストール・マルドナード(ウィリアムズ)がフロントローに並んだ。一方、ポイントリーダーのフェルナンド・アロンソ(フェラーリ)はやや出遅れて5番手からのスタート。シリーズも終盤戦に差し掛かっているということもあり、2012年のチャンピオン争いの展望を占う意味でも注目の決勝レースが始まった。

スタートでは前回同様に無難なダッシュを決めたハミルトンがトップを死守。3番手のセバスチャン・ベッテル(レッドブル)が1〜3コーナーでのライン取りを上手く利用し、パストール・マルドナード(ウィリアムズ)を抜いて2位に浮上。ここから現在タイトル争いでアロンソを追いかける立場にある2人が頭ひとつ抜けだしてく展開となる。アロンソはスタートから5位をキープ。4位に後退したマルドナードを攻略できないままレースが進んでいく。


『Photo:Pirelli』

ランキング2位のハミルトンにとっては、このまま優勝しアロンソとのポイント差が一気に縮まり、残り6レースで逆転チャンピオンの可能性が大きくなってくる。2位ベッテルを引き離せないながらも、ミスのない走りで確実に周回を重ねたが、予期せぬトラブルがハミルトンを襲う。23周目、3コーナーを立ち上がったところで突然失速。ギアボックストラブルが発生してしまい、まさかのリタイヤを余儀なくされた。力なく首を横に振ってマシンを降りたハミルトン。追いかける側の立場で一番やってはいけない“0ポイント”でシンガポールGPを終えることになってしまった。

一方、後方で我慢のレースが続いたアロンソはリタイヤによる0ポイントを避ける確実なレース運びを徹底。途中のハミルトンに加えてマルドナードのリタイヤにも助けられ3位に浮上する。

ハミルトンのリタイヤにより、代わりにトップに浮上したのは現王者ベッテル。彼も前回イタリアGPでマシントラブルによりリタイヤを喫しており、チャンピオン争いを考えると今回は優勝が必須となる。特に後半は2位に上がってきたジェンソン・バトン(マクラーレン)と約2秒以内の差でミスの許されないハイレベルなトップ争いが繰り広げられた。

当初61周で争われるはずだったシンガポールGPだが、途中2度に渡ってセーフティカーが導入。これにより規定周回を消化する前に、スタートから2時間を迎えたため、59周を終えたところでチェッカーフラッグが出される珍しいケースでのフィニッシュ。結局、終盤まで堅実な走りを見せたベッテルが、第4戦バーレーンGP以来となる今季2勝目をゲットした。


『Photo:Pirelli』

2位には最後までベッテルを追い続けたバトン。3位にはポイントリーダーのアロンソが入り、劣勢を強いられたレースでもしっかりと表彰台を獲得してみせた

また日本GPを直前に控え、気合が入る小林可夢偉(ザウバー)だったが、シンガポールGPは大苦戦の週末となってしまった。ここ数戦はQ3に進出するなど絶好調だった公式予選も18位でQ1ノックアウト。決勝では今回硬めのタイヤであるソフトタイヤ(黄)でスタート。序盤からタイヤの温存を意識しながらのドライビングを徹底し、一時は11位まで浮上。ポイント圏内も目前まで迫っていたが、50周目に後方から抜きにかかってきたニコ・ヒュルケンベルグ(フォースインディア)と接触でフロントウイングを破損。緊急ピットインを余儀なくされる。
またしても不運なアクシデントに見舞われ、17位まで後退した可夢偉だったが、同時に新品のスーパーソフトタイヤに履き替えて再度挽回を開始。最終的に13位まで順位を取り戻してチェッカーを受けた。

次回はいよいよ日本GP。シリーズ屈指の難コースである鈴鹿サーキットはザウバーのマシンにとって相性の良いコースであり、チームも可夢偉自身も開幕当初から一番狙っていたレース。ここまでの鬱憤を晴らす素晴らしい走りを期待したい。

『記事:吉田 知弘』

吉田 知弘(Tomohiro Yoshita)

投稿者プロフィール

フリーのモータースポーツジャーナリスト。主にF1やSUPER GT、スーパーフォーミュラの記事執筆を行います。観戦塾での記事執筆は2010年から。翌年から各サーキットでレース取材を重ねています。今年はSUPER GTとスーパーフォーミュラをメインに国内主要レースをほぼ全戦取材しています。
初めてサーキット観戦される初心者向けの情報コーナー「ビギナー観戦塾」も担当。

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