【WEC】第7戦富士(決勝):アウディR18との激戦を制しトヨタTS030(#7)が優勝!

『写真:富士スピードウェイ』

世界耐久選手権(WEC)のシリーズ第7戦「6Hours of Fuji」の決勝が14日(日)、静岡県の富士スピードウェイで行われ、ポールポジションからスタートした7号車トヨタTS030ハイブリッド(A・ブルツ/N・ラピエール/中嶋一貴)が、強豪アウディR18勢との激戦を制し、今季2勝目を地元富士で飾った。

レース前の予想通りスタートから1号車アウディR18 e-トロン クワトロ(A・ロッテラー/M・ファスラー/B・トレルイエ)との激しいトップ争いとなった7号車トヨタTS030。すでに第5戦サンパウロで優勝を経験しているブルツ、ラピエールが確実に周回を重ねた。

6時間のレースも折り返しを過ぎた124周目。1号車アウディR18を駆るブノワ・トレルイエが周回遅れの97号車アストンマーティンを抜く際にダンロップコーナーで接触。左フロント部のカウルを破損してしまうが、ル・マン24時間でみせた迅速なアクシデント対応の作業が富士でも発揮され、大きなタイムロスなく戦列にした。

この接触でコース上に散らばったパーツの破片を回収するためセーフティカーが導入。このタイミングで7号車トヨタは3回目のピットインを行い、中嶋一貴にバトンタッチ。ここから優勝をかけた一貴の長い激走が始まっていく。

129周でセーフティカーが解除され、レースが再開。すると約2時間半後のゴールを目指し、1号車アウディと7号車トヨタともに周回を重ねていくが、124周目に起きたアストンマーティンとの接触で1号車アウディはストップ&ゴーのペナルティを受けることになり、痛恨のタイムロスを余儀なくされてしまう。

これで楽になったかに見えた7号車トヨタだったが、ライバルよりも燃費が良くなく、最後に給油のみのピット作業がもう一度必要。この事は一貴も十分理解しており、ベストラップを連発しながら1号車アウディとのマージンを開いた。

『写真:富士スピードウェイ』

一方、追いかける立場となった1号車はエースであるアンドレ・ロッテラーがアンカーを担当。フォーミュラ・ニッポンではチームメイト同士の2人が世界選手権の舞台で優勝をかけたデッドヒートを繰り広げ、30,000人が集まった富士スピードウェイは2台の走りに釘付けになった。

一貴の激走で46秒のギャップを築いた7号車トヨタ。残り20分を切ったところで給油のみの最後のピットインを行い、見事1号車アウディの前でコースに復帰。

最後も一貴がロッテラーを圧倒するペースで周回し、最後は11.2秒の差をつけチェッカー。地元富士でトヨタTS030が勝利を収めた。

『写真:富士スピードウェイ』

レース後半のほとんどを担当、今回の優勝に大きく貢献した中嶋一貴は、第5戦サンパウロは欠場していたため、WECではこれが初優勝。パルクフェルメでもガッツポーズが絶えなかった一貴は「FIA世界選手権に勝利することはドライバーとしての目標であり、それが果たせた今日は特別な日だ。多くの観客が集まってくれて、グランドスタンドに無数のトヨタの旗が振られるのを見るのは最高の気分だった。本当に最後の数周は興奮した。担当エンジニアから、最後のピットストップが待っているからプッシュしろと無線が入り、夢中で攻めた。その結果、優勝を果たすことが出来、最高の気分。(トヨタ リリースより)」とコメントした。

2位には1号車アウディ、3位には2号車アウディが入り、ル・マン24時間を完全制覇したアウディ勢をトヨタが破るレースとなった。また佐藤琢磨がスポット参戦した佐藤琢磨がドライブした15号車OAKペスカローロ・ホンダは途中、度重なるアクシデントやトラブルに苦しめられ、クラス8位、総合16位でチェッカーを受けた。

LMP2クラスでは中野信治が乗り込んだ25号車オレカ03・ニッサンがクラス優勝。井原慶子が乗り込んだ29号車ローラ・ニッサンはクラス6位に終わった。

『写真:富士スピードウェイ』
『記事:吉田 知弘』

吉田 知弘(Tomohiro Yoshita)

投稿者プロフィール

フリーのモータースポーツジャーナリスト。主にF1やSUPER GT、スーパーフォーミュラの記事執筆を行います。観戦塾での記事執筆は2010年から。翌年から各サーキットでレース取材を重ねています。今年はSUPER GTとスーパーフォーミュラをメインに国内主要レースをほぼ全戦取材しています。
初めてサーキット観戦される初心者向けの情報コーナー「ビギナー観戦塾」も担当。

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