【F1】2016オーストラリアGP:レースレポート

©Pirelli
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 2016年のF1開幕戦オーストラリアGPの決勝レースが20日、メルボルンのアルバートパークサーキットで開催された。

 いよいよ待ちに待った開幕戦ということで、世界中のファンが注目。今年は予選フォーマットやタイヤのレギュレーションが大幅に変更され、混乱しながらの週末となったが、グリッドには昨年を上回る22台のマシンが整列した。

 ポールポジションはルイス・ハミルトン。2番手にニコ・ロズベルグとメルセデス勢がフロントローを独占。2列目にはセバスチャン・ベッテルとキミ・ライコネンのフェラーリ勢が並んだ。

 フォーメーションラップを終えて各車が再びグリッドに戻るが、ダニール・クビアト(レッドブル・レーシング)がグリッド手前でストップするハプニングが発生。そのままフォーメーションからやり直しとなり、決勝は1周減って57周レースに。クビアトはピットにマシンを戻されるが、そのままリタイヤとなってしまう。

 今年からスタート時のチーム側との無線での情報交換に厳しい制限がかかり、よりドライバーの技量が試されるものに。これが明暗を分けることになり、ハミルトンは出遅れてしまう。さらに1コーナーでのポジション取りが悪く最終的に7番手まで後退してしまった。隣のロズベルグもダッシュに手こずる中、1コーナーで突破口を見出したのがフェラーリの2台。ベッテルが首位を奪い、ライコネンがそれに続いた。

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 予選での快進撃から一転、追う立場となったメルセデス勢だが、すぐに戦略で反撃する。今回上位陣は予選で使用したスーパーソフトタイヤを履いてスタート。当初は10周も保たないのではないかと言われるほど耐久面では苦しいところがあるコンパウンド。実際に10周を過ぎてフェラーリ2台のペースが落ちた瞬間を見逃さずロズベルグが12周目に最初のピットストップ。ソフトタイヤに履き替えてコースに戻る。ここで一気にタイムを稼ぎ、フェラーリ勢がピットに入るとライコネンを逆転し、ベッテルの背後にまで近づいた。なおフェラーリ勢はメルセデスとは異なり、スーパーソフトでつなぐ作戦。ハミルトンも17周目に入り、ミディアムを選択。ここでタイヤ使用義務を果たすため、そのまま最後まで走り切ろうという作戦に出る。

 上位陣の1回目のストップがひと段落した瞬間。大きなアクシデントが発生する。エステバン・グティエレス(ハース)とフェルナンド・アロンソ(マクラーレン)が接触。アロンソはコントロールを失い、コース脇のウォールに激突。その後、ランオフエリアを回転しながらタイヤバリアに突っ込んだ。マシンは大破しドライバーの状態が心配されたが、幸いアロンソは自力で脱出。少し足をひきずるような仕草も見られたが、ヘルメットを脱いで落ち着くとファンに手を振って無事をアピールしていた。

 この事故によりコース上に破片が大量に散乱。事態収拾のため赤旗が出されることになった。この中断がレース後半の優勝争いを大きく左右させることになった。

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 赤旗中、マシンはルールによりピットレーンで待機。この間、タイヤ交換は許される。ここで2位を走るロズベルグはハミルトン同様にミディアムに交換。このまま最後まで走り切る作戦に切り替える。一方、フェラーリ勢はミディアムでのレースペースに自信がなかったようで、スーパーソフトのままレース再開を待った。約25分の中断ののち、19周目からセーフティカー先導状態でレース再開。グリーンフラッグが振られると一気にベッテルが後続を引き離す勢いで逃げにかかるが、ロングランに不向きなスーパーソフトではすぐに限界が訪れ、ロズベルグとの差が逆に詰まっていく。さらに22周目にはライコネンがトラブルで緊急ピットイン。ガレージ前にマシンを止めるとエンジンルームから炎が上がってしまう。すぐにマーシャルによって火は消し止められたが、ここまで調子が良かっただけに悔やまれるリタイヤとなってしまった。

 少しずつ流れがメルセデスペースになる中、35周目にベッテルが2回目のピットイン。終盤はメルセデス2台を負うことになるため、ドックファイトで攻めれるようにソフトタイヤを選択。ところが、左フロントの交換に手取ってしまい約3秒タイムロスしてしまう。これでトップはロズベルグ。後続との差も10秒近くあり、余裕を持って周回を重ねた。なんとか再逆転を果たしたいベッテルは前方のシルバーアローを猛追。残り10周を切って2位に浮上していたハミルトンに追いつくが残り2周でまさかのブレーキングミス。これでハミルトンを逃してしまい万事休すとなった。

 結局、レース終盤は独走状態となりテレビカメラにほとんど映らなかったロズベルグがトップチェッカー。通算15勝目で、年またぎで4連勝を飾った。2位にはハミルトン、3位にはベッテルと結局は同じ顔ぶれの表彰台になった。

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 また新規チームのハースが大健闘。途中の赤旗でミディアムタイヤに交換しレース中のピットストップなしでタイヤ使用義務を果たしたグロージャンが6位入賞。大金星を挙げた。

 マクラーレン・ホンダのもう1台、ジェンソン・バトンも力強い走りを最後までみせたが、赤旗時により戦略がうまく機能せず14位。ポイント獲得はならなかった。

吉田 知弘(Tomohiro Yoshita)

投稿者プロフィール

フリーのモータースポーツジャーナリスト。主にF1やSUPER GT、スーパーフォーミュラの記事執筆を行います。観戦塾での記事執筆は2010年から。翌年から各サーキットでレース取材を重ねています。今年はSUPER GTとスーパーフォーミュラをメインに国内主要レースをほぼ全戦取材しています。
初めてサーキット観戦される初心者向けの情報コーナー「ビギナー観戦塾」も担当。

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