【F1】2016ロシアGP:レースレポート

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 2016年のF1第4戦ロシアGPが4月29日から5月1日にかけて開催された。

 舞台はソチ・オリンピックの会場跡地に作られた「ソチ・オートドローム」。一部公道も使用する他、バリアとコースの距離も近いため市街地コースのような印象を与えるサーキット。また過去2回はF1日本GP後の10月開催だったが、今年から序盤の4月に変更。前回の開催から約半年で再びF1各チームを迎え入れることになった。

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 30日に行われた公式予選では、今シーズンここまで負けなしの3連勝できているニコ・ロズベルグ(メルセデス)が他を圧倒する速さでポールポジションを獲得。一方、僚友のルイス・ハミルトンはQ3でトラブルが発生しマシンを降りることに。不本意な10番手スタートとなってしまう。2番手にはセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)が食い込んだが、彼もギアボックス交換を行っていたため5グリッド降格ペナルティ。ロズベルグにとっては強敵が後方に下がるという運も味方につけた予選となった。

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 注目の決勝スタート。ここはターン1は全開で駆け抜けていく区間なので、実質的な「1コーナー」はターン2。フルブレーキングの直角コーナーをクリアしなければならない。ロズベルグはポールポジションの利点を生かし、うまく後続を抑えターン2へ。3番手スタートのキミ・ライコネン(フェラーリ)がバルテリ・ボッタス(ウィリアムズ)を抜き2番手へ浮上する。しかしその後方では多重クラッシュが発生。ダニール・クビアト(レッドブル・レーシング)がベッテルに追突。バランスを崩したフェラーリマシンはそのまま外側にいたダニエル・リカルド(レッドブル・レーシング)にもヒットし、結果彼をランオフエリアに飛ばしてしまう。これがきっかけで後続も混乱。ニコ・ヒュルケンベルグ(フォース・インディア)、リオ・ハリアント(マノー)、エステバン・グティエレス(ハース)などが絡む多重クラッシュとなってしまった。

 さらにターン3ではベッテルがまたクビアトに追突されクラッシュ。第2戦バーレーンGPに続き0周リタイアに。さらに前回中国GPでもレース後に2人が口論になる場面があり、その因縁が2週間後のロシアで再燃。ベッテルは怒り心頭でマシンを降りた。

 こうした事態を収拾するためセーフティカーが導入。マシンやパーツの破片などはすぐに片付けられ、4周目に再スタートが切られた。ここからは前回同様にロズベルグのペース。一気に2秒以上の差をつけると、その後も着実にリードを広げ独走状態に持ち込む。

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 前半はライコネンとボッタスの2位争いだったが、そこに10番手から追い上げてきたハミルトンが接近。7周目に3番手へ上がると、その後ボッタスも捉え2番手に浮上。ピットストップ以降はトップのロズベルグを猛追。レース後半はシルバーアロー2台によるマッチレースが白熱した。

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 一時は7秒差までつめたハミルトンだったが、終盤に冷却系のトラブルが発生。ロズベルグと同じペースを維持することができず、再び差が広がる一方に。今回も全ての流れをつかんだロズベルグが25秒の大差をつけて優勝。昨年のメキシコGPから続く連勝記録を7に伸ばした。2位にはハミルトン、3位にはライコネンが続いた。

 マクラーレン・ホンダはジェンソン・バトンが12番手、フェルナンド・アロンソが14番手からスタート。2人とも1周目の混乱をすり抜け順調に周回。特にアロンソは全体で5番手となる自己ベストタイムを記録する速さをみせ、6位でチェッカー。中団の争いを終始繰り広げていたバトンも10位でチェッカーを受け、今季初のダブル入賞を果たした。

吉田 知弘(Tomohiro Yoshita)

投稿者プロフィール

フリーのモータースポーツジャーナリスト。主にF1やSUPER GT、スーパーフォーミュラの記事執筆を行います。観戦塾での記事執筆は2010年から。翌年から各サーキットでレース取材を重ねています。今年はSUPER GTとスーパーフォーミュラをメインに国内主要レースをほぼ全戦取材しています。
初めてサーキット観戦される初心者向けの情報コーナー「ビギナー観戦塾」も担当。

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