【SF】2013最終戦鈴鹿:天候に振り回されたレース2は一貴がV、山本が逆転チャンピオンを獲得!

©T.Yoshita/KANSENZYUKU

 いよいよ最後の大一番を迎えたスーパーフォーミュラ最終戦鈴鹿。午後のRace2は大波乱の展開となった。午前中のRace1では見事な独走劇で優勝を飾った山本尚貴(TEAM無限)。午後もポールポジションにマシンを止め、レースに備える。ウエットコンディションとなったRace1とは裏腹に雨が止んで路面コンディションも回復傾向に。グリッドではタイヤが分かれ、山本やジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(Lenovo TEAM IMPUL)など上位陣はレインタイヤ、後方からスタートの平手晃平、国本雄資のP.MU/CERUMO・INGINGの2台に加え、平川亮(KYGNUS SUNOCO Team LeMans)ジェームス・ロシター(PETRONAS TEAM TOM’S)はスリックタイヤを選択した。

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 注目のスタートでは3位の小暮卓史(NAKAJIMA RACING)が好ダッシュをみせるものの山本がきっちりトップを死守。後続も混乱なくS字・逆バンクに入っていく。このRace2では最低1回のタイヤ交換義務があり、早速オリベイラと中嶋一貴(PETRONAS TEAM TOM’S)が1周目終わりでピットイン。スリックタイヤに履き替えてコースに復帰する。1周目で2秒近いリードを築いた山本は2周目にピットイン。しかし、スリックタイヤ勢の方がペース的に勝っておりオリベイラと一貴の先行を許す。これを皮切りに続々と他のマシンもタイヤ交換を敢行。スリックでスタートした4台がレースをリードする展開となった。

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 これにより、しばらく7位で走行を続けた山本だったが、10周目に平川、11周目にロシターが規定のタイヤ交換を行い5位に浮上。セルモ・インギングの2台は終盤に交換する作戦で、これを考慮すると3位になる計算。これまで2位以内でないと逆転チャンピオンになれないと思われていたが、スーパーフォーミュラのチャンピオンシップルールでは、仮に同点のドライバーが複数名いた場合、1大会で得たポイントの最大得点が多い方がチャンピオンになる。暫定首位のアンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM’S)は第2戦オートポリスで11ポイント(PPボーナス+優勝)が最大だが、もし山本が最終戦Race2で3位に入れば合計13ポイント(PPボーナス2回分の2pts+Race1の8pts+Race2の4pts)になり、ギリギリで逆転タイトルを掴むことが出来る。そのため、このポジションを守ればチャンピオンに手がとどくのだが、レースの神様は最後の最後まで彼に試練を与え続けた。残り5周を切ったあたりから雨が降り出し、残り2周でマシントラブルで2位に後退していたオリベイラがデグナーでスピンしクラッシュ。山本も濡れた路面に足元をすくわれ、後方から追い上げてきた小暮に交わされてしまう。さらに平川と同僚のアンドレア・カルダレッリまで迫ってきていたが、冷静にスピンしない走りを徹底しファイナルラップに突入した。レースは巧みなピット戦略が今回も光った一貴が終盤のオリベイラのトラブルでトップに浮上。そのまま逃げ切り今季2勝目。2位には小暮が続き、最後までマシンを滑らせながら守り切った山本が無事に3位でチェッカー。13ポイント差を同点ではあるが見事にひっくり返して、シリーズチャンピオンを勝ち取った。

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 「レース中に色々なことが起きすぎて、チェッカーを受けた瞬間は自分でも混乱していました。実感が沸かないんですが、本当に嬉しいです。」という山本。8月のSUPER GT鈴鹿でみせた涙の優勝とは異なり涙はなかったが、今週末ずっと封印していた“尚貴スマイル”全開で何度もガッツポーズを繰り返した。

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 今回はロッテラーとデュバルが欠場し、その中でのチャンピオン決定という形ではあったものの、昨日の予選では1発で決めなければいけないQ3でのタイムアタックでコースレコードを樹立しダブルポール。Race1でも雨の中、見事な走りで優勝を勝ち取るなど、まさに完璧な走りをみせた山本。終わってみれば、誰もが認める2013年のシリーズチャンピオンドライバーになっていた。

『記事:吉田 知弘』

吉田 知弘(Tomohiro Yoshita)

投稿者プロフィール

フリーのモータースポーツジャーナリスト。主にF1やSUPER GT、スーパーフォーミュラの記事執筆を行います。観戦塾での記事執筆は2010年から。翌年から各サーキットでレース取材を重ねています。今年はSUPER GTとスーパーフォーミュラをメインに国内主要レースをほぼ全戦取材しています。
初めてサーキット観戦される初心者向けの情報コーナー「ビギナー観戦塾」も担当。

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