【SF】2016開幕直前プレビュー「史上最大の激戦シーズンが開幕」

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©T.Yoshita/KANSENZYUKU

いよいよ2016年の全日本スーパーフォーミュラ選手権が鈴鹿サーキットで今週末開幕する。今年はGP2王者の参戦やタイヤの変更。さらに勢力図の大幅変更も予想され、例年になく見どころが多いシーズンとなっている。開幕直前に控えた今季のSF。注目ポイントをまとめた。

【F1でも活躍したバンドーンがいよいよデビュー】

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今シーズンの注目は、やはり昨年のGP2王者のストフェル・バンドーンだ。今年はマクラーレン・ホンダのリザーブドライバーを務める傍らでスーパーフォーミュラに参戦。2017年からのF1本格デビューの最終ステップとして日本のトップフォーミュラにやってきた。

しかし思いもよらぬ形でドクターストップで欠場を余儀なくされたフェルナンド・アロンソの代役としてF1第2戦バーレーンGPに参戦。いきなり10位入賞を飾り、その才能を余すところなく発揮した。

そして、いよいよ迎えるSF開幕戦。もちろん、来年のF1ステップアップを考えると1年目からチャンピオン争いに食い込むような走りが求められる。ライバルたちは何年も0.001秒のミスさえ許されないシビアな戦いを繰り広げてきた猛者たちばかり。もちろん、舞台となる鈴鹿サーキットも知り尽くしているドライバーたちだ。

さすがにGP2王者のバンドーンといえども、彼ら相手にトップ争いは難しいのではないか?という声も少なからずあるが、3月の鈴鹿合同テストでは、新しいことをすぐに吸収し、周回を重ねるごとに明らかにパフォーマンスも上がって行っているのが感じられていた。実際に他のドライバーからも警戒する声も上がっており、開幕戦では少なくとも予選Q3に残ってきそうだ。

GP2王者、そして今世界が注目するF1に最も近いドライバーの真価が今週末試されることになりそうだ。

【チャンピオン最有力は、やはり2年目の可夢偉か】

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毎年、有力ドライバーが多く激戦となっているスーパーフォーミュラ。今年バンドーンに加えて注目なのは2年目を迎える小林可夢偉だろう。

昨年はほとんどが初めて走るコースばかりで、フリー走行もわずか1時間のみ。これには「あと一歩という状況が続いた」と悔しさをみせていた。それでもシーズン中には3回表彰台を獲得し、予選でも第5戦オートポリスに2番手に食い込む活躍を見せ、ランキングも6位で終わった。

2年目となる今年は、マシンやコースも一通り経験。3月の鈴鹿テストからトップタイム争いに加わるなど、明らかに昨年とは勢いが違うというのが伺えた。

昨年も予選一発での速さはもちろん、決勝レースで特に接近したバトルでの駆け引きなど、レース展開を読んだドライビングの引き出しは豊富にある可夢偉。昨年の経験もプラスされ、開幕戦では自身のキャリアにとっても数年ぶりとなる優勝を見られる可能性も高い。

まずは土曜日の走り出しから、どんな速さをみせてくれるのか。大注目だ。

【2連覇の偉業へ、王者石浦の新たな挑戦が始まる】

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昨年、悲願の初チャンピオンに輝いた石浦宏明。今年は王者の証であるカーナンバー1をつけて登場する。もちろん目指すは国内トップフォーミュラでの連覇。しかしフォーミュラニッポン時代を合わせて20年以上の歴史がある中で、連覇を達成したのは松田次生(2007・2008年)のみ。現在も数多くチャンピオン経験者はいるが、そのほとんどが王者に輝いた翌年は思うような成績を残せなかった。

それだけ強力なライバルが多く、1ポイントも取りこぼすことが許されないシビアなカテゴリーだからこそ、王者の独走がなかなか実現していないのだ。

その難関に挑む石浦。開幕前の鈴鹿合同テストでは総合3番手タイム「スプーンで少しミスをしたから、あれがなければトップだった」と手応えは十分にある様子。さらに今季も所属するP.MU CERUMO/INGINGには元ブリヂストンのF1タイヤ開発責任者の浜島裕英氏がチームの総監督に就任。今年から全車ヨコハマタイヤに変わることもあり、一つでも情報やノウハウが必要な中、浜島総監督の存在は役に立っているという。

「チャンピオンを守るのではなく、もう一度取りに行く」という石浦。現王者だから挑める「2連覇」への偉業をかけた挑戦が、いよいよ始まる。

【他にも注目ドライバーは多数。優勝候補はほぼ全員】

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この他にも数多くの優勝候補が存在するのが現在のスーパーフォーミュラの特徴だ。今年、メインスポンサーが変わりカラーリングも変更された名門トムスは、アンドレ・ロッテラーと中嶋一貴のコンビ。今年でなんと日本でのレースは14年目となるロッテラー。新しいヨコハマタイヤにも慣れた様子。2度目のタイトル獲得に視界良好だ。先日のWEC開幕戦ではトップチェッカーを受けるも、レース後の車検にひっかかり失格。その悔しさを今週末の鈴鹿にぶつけたいところだ。チームメイトの一貴も、普段表には出さないが、昨年わずかの差で石浦に負けた悔しさは必ず持っているはず。そのリベンジを果たすべく開幕戦から全開でくることは間違いないだろう。

こちらもメインスポンサーが変わりカラーリングを一新した星野一義監督率いるチームインパル。エースのジョアオ・パオロ・デ・オリベイラの新チームメイトに関口雄飛が加入。2011年の全日本F3王者が念願の国内トップフォーミュラデビューを果たす。どちらもアグレッシブな走りが特徴な2人。今年もチャンピオン争いに絡んでくることは間違いないだろう。

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一方ホンダ勢も虎視眈眈と王座を狙っている。エースの山本尚貴は今年もTEAM無限から参戦。鈴鹿合同テストではクラッシュを喫してしまい思うような走り込みはできなかったが、続く岡山合同テストでは初日に唯一1分12秒台を記録しトップタイム。得意とする鈴鹿で、今年もライバルを圧倒するスーパーアタックに期待が集まる。

またバンドーンのチームメイトで、昨年は山本とホンダエースの座を争った野尻智紀。彼も鈴鹿合同テストでは上位に食い込んでおり、手応えをつかんでいる様子。昨年も鈴鹿での開幕戦ではうまくいっていればフロントローを獲得できたほどの速さを見せていた。今年はどんな活躍をみせてくれるのか、目が離せない。

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そして、今年ホンダ勢の中で要チェックなのがナカジマレーシングの中嶋大祐だ。3月の鈴鹿合同テストでは総合トップタイムをマーク。昨年からチームスタッフの編成を大きく入れ替え、それがシーズン後半から機能し始めてきたとのこと。その成果が、そのまま3月のテストでも現れトップタイム獲得につながった。その時の良いイメージのまま今週末も望むことができれば、ナカジマレーシングとしては2010年以来となる優勝も実現するかもしれない。

この他にも、一人一人挙げていけば切りがないほどの注目ドライバーが揃っている2016年。優勝候補は、全19人中ほぼ全てと言っても良い状態。それだけに、予選から0.001秒のミスすら許されない超ハイレベルなバトルになることは間違いない。

【勝敗の鍵はヨコハマタイヤ】

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今シーズン、スーパーフォーミュラは大きな変化を迎えることになる。これまで43年にわたって国内トップフォーミュラの足元を支えてきたブリヂストンが昨年限りで離脱。代わりにヨコハマタイヤが20年ぶりに国内最高峰のフォーミュラカテゴリーに帰ってくる。

「まずは安全で確実なタイヤ供給」を目標に、あまり攻めたタイヤ作りは控えると言っていたが3月の鈴鹿合同テストではコースレコードを上回る速さをみせ、グリップ力が向上しているなどドライバーからの評判も上々だ。

しかし、実際にテストなどをコースサイドで取材すると滑らかに走っているドライバーもいれば、挙動を乱すドライバーもいるなど様々。何人かのドライバーに感触を伺ってみると「ブリヂストンと特性が似てきている」という回答がある一方で「ブリヂストンとはまるで違うから、そこへの合わせこみが必要」というコメントも聞こえてくるのだ。

実際に鈴鹿合同テストでのタイムを見ていても、前者の意見を持っているドライバーが上位に来ていた。少なからず昨年からキャラクターが変わっている今年のヨコハマタイヤを上手く扱えるのかが、勝敗を分ける重要な鍵になってきそうだ。

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また43周で争われる決勝レース。タイヤテストではロングラン走行も行われてきたが、実際にライバルと一緒に走るレースはこれが初めて。途中給油も兼ねて1回タイヤ交換ができる機会があったが、BS時代はタイヤ無交換という選択肢もあるなど、チーム・ドライバーによって戦略が分かれることもあった。これがヨコハマに変わった今回は、どのような戦略を各陣営がとってくるのか。全員が初めての実戦なだけに、より注目が集まりそうだ。

注目の開幕戦鈴鹿は23日に公式予選、24日に決勝レースが行われる。今年も全7大会、一瞬も見逃すことができない日本一の座をかけた戦いが、いよいよ始まる。

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吉田 知弘(Tomohiro Yoshita)

投稿者プロフィール

フリーのモータースポーツジャーナリスト。主にF1やSUPER GT、スーパーフォーミュラの記事執筆を行います。観戦塾での記事執筆は2010年から。翌年から各サーキットでレース取材を重ねています。今年はSUPER GTとスーパーフォーミュラをメインに国内主要レースをほぼ全戦取材しています。
初めてサーキット観戦される初心者向けの情報コーナー「ビギナー観戦塾」も担当。

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