【SUPER GT】第5戦ポッカ1000km:プレビュー

『写真:鈴鹿サーキット』
『写真:鈴鹿サーキット』

2012年のSUPER GTも、いよいよ後半戦に突入。第5戦の舞台は三重県の鈴鹿サーキット。「第41回インターナショナルポッカ1000kmレース」という名称で開催される。

その名の通り、今年のレース距離は1000km。今までも夏の風物詩として多くのファンから愛されてきた伝統の“ポッカ1000km”が4ぶりに復活する。通常のシリーズ戦と比べると3倍以上の距離を走らなければならないため、マシンやドライバーへの負担も限りなく大きい。さらに真夏の日差しが照りつける中での耐久レースで、毎年予想外のトラブルやアクシデントが欠くチームに襲い掛かってくる。
数々の試練をくぐり抜け、夕暮れの鈴鹿サーキットに用意されるチェッカーフラッグを最初に受けるのは、果たしてどのマシンなのか?夏休みを締めくくる大一番が、いよいよ開幕する。

【GT500クラス:好調レクサス勢を食い止めるのは?】
今季のGT500クラスは開幕戦からレクサス勢が好調。4戦中3勝を挙げる活躍で、第4戦SUGOではENEOS SUSTINA SC430(伊藤大輔/大嶋和也)とPETRONAS TOM’S SC430(中嶋一貴/ロイック・デュバル)がワン・ツーフィニッシュを飾った。

 

終盤戦に向けて本格化していくタイトル争いを考えると、今回の鈴鹿は絶対に落とせない1戦。もちろん、レクサスの勢いが留まる気配がなさそうだが、ライバルのホンダ・日産の両運営とも「打倒レクサス」がポッカ1000kmでのテーマになっているに違いない。

 

その中で注目したいのが、今季未勝利の日産GT-R勢。前回SUGOではカルソニックIMPUL GT-R(松田次生/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)とMOTUL AUTECH GT-R(本山哲/ミハエル・クルム)が予選2・3位につけたが、スタートでまさかの同士討ちに終わるという悔しい結果に。ただマシンの方は好調で先日行われた富士スピードウェイでの合同テストでも好タイムを連発。SUGOでのリベンジを果たすためにも、そしてシリーズタイトル防衛のためにも、この鈴鹿は絶対落とせない1戦となる。

 

ホンダ勢にとって鈴鹿サーキットはホームコース。2010年に投入したHSV-010で夏の鈴鹿ラウンドで2連勝中と相性も良い。今年はレクサス勢に惜敗するレースが多かったが、1000kmに戻った鈴鹿ラウンドで優勝し、シリーズタイトルへ向けて勢いをつけたいところだ。

今回は1000kmの復活ということで耐久レースの要素が加わる第5戦だが、GT500クラスに関しては1周たりとも気を抜くことが許されない“1000kmのスプリント戦”のようなバトルが繰り広げられるかもしれない。

【GT300クラス:チームの総合力が鍵となる1000kmレース】
今年のGT300クラスは4戦全てで勝者が異なる混戦となっている。ポイントランキングでもエンドレスTAISAN 911(横溝直輝/峰尾恭輔)を筆頭に15ポイント内に6チームがひしめく接戦。今回の鈴鹿も絶対に落とすことができない重要な1戦であることは間違いない。

 

通常の3倍以上の距離を走らなければならない今回のレース。マシンの力やタイヤのパフォーマンスだけではなく、173周をどう戦っていくのか?というドライバー・メカニックを含めたチーム全体のレース戦略・総合力が勝敗を分ける鍵となってくるだろう。

 

そこで注目したいのが現在ランキング2位のGSR 初音ミク BMW(谷口信輝/片岡龍也)だ。今季はポルシェやアウディR8が台頭する中、彼らは“ピット作業時間の短縮”に着手。できる限り燃料をセーブした走りを徹底し給油時間を短縮して、勝機を見出している。それが上手くいったのが第2戦富士GT500kmレース。最後の最後で逆転を果たし今季初勝利を手にした。しかし第3戦セパンでは、この作戦を追求しすぎてしまい残り半周でガス欠ストップ。2位15ポイントを逃してしまった。

今回は173周という長距離。1周1周の積み重ねが最終的に大きな差になってくるのが1000kmレースの特徴で、チャンピオンチームがどのようなレースを見せてくれるのかが楽しみなところだ。

この他にも注目したいGT300車両はたくさんある。昨年レガシィで鈴鹿を制したSUBARU R&D SPORT。マシンをBRZにスイッチして初の鈴鹿戦となるが、レガシィで2連覇を果たしているチームだけに、目が離せない存在。そして今回がデビュー2戦目となる無限CR-Zの活躍にも期待したい。

4年ぶりに復活するポッカ1000km。毎年数々のドラマを生み出してきた1戦で、今年はどんなレースが繰り広げられるか。スタートからチェッカーまでの約6時間、一瞬足りとも目が離せない週末がいよいよ始まる。

『記事:吉田 知弘』

吉田 知弘(Tomohiro Yoshita)

投稿者プロフィール

フリーのモータースポーツジャーナリスト。主にF1やSUPER GT、スーパーフォーミュラの記事執筆を行います。観戦塾での記事執筆は2010年から。翌年から各サーキットでレース取材を重ねています。今年はSUPER GTとスーパーフォーミュラをメインに国内主要レースをほぼ全戦取材しています。
初めてサーキット観戦される初心者向けの情報コーナー「ビギナー観戦塾」も担当。

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